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P「鳥居処」 

カテゴリ:アイマスSS

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:28:26.37 ID:o9KAO4c2P

小鳥「え? 鳥居処、ですか? 聞いたことないですね……」

P「なんでも大きな鳥居がある神社の近くにあるそうでそう名づけられたとか」

小鳥「……食べ物屋さんか何かですか?」

P「あ、えっと、最近これと言って大きな仕事もないので何かないかと探してたんですけど」

P「ちょうど近所の児童養護施設からお呼びがかかって。どうか暇な時でいいから遊びにきてくれないか、と」

P「こういうところで顔を増やしておくと意外と効果が合ったりしますから」

P「そういうわけでそこにちょこちょこと行ってもらってるわけなんです」

小鳥「なるほど、それはまたいいところを」

P「あ、ごめんなさい話がそれちゃいました。えぇと、今日は春香が行ってるんですけど見てきてもらえませんか?」

P「たまに子供にくっつかれて困ってたりして、仕事があるんですよねこの後」

小鳥「あらあら、でも春香ちゃんは子供たちに好かれそうですもんね~」

P「えぇもうそれはそれは。かなりの人気みたいで、本人も気に入ってくれて作戦は成功! って感じですよ」

小鳥「わかりました、そういうことなら行ってきますね」

P「すみません。お願いします」


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:31:12.83 ID:o9KAO4c2P

小鳥「とは言ったものの、結構歩くのね……」

小鳥「うわぁ、これかぁ。うわ、ホントおっきい鳥居ねぇ」

小鳥「こんなの修学旅行でしか……なんてね。そんなの記憶にございません!」

小鳥「さてとこの辺……あ、いたいた」

小鳥「おーい、春香ちゃーん!」

春香「あ、小鳥さん! あ、ちょ、ちょっと待ってください!」

春香「はいはい、どうしたの~? うーん、でももうお姉さん帰らないと……」

春香「あ~ごめんごめん! 大丈夫、また来るから、ね? よし、えらい! それじゃあね。バイバイ!」

小鳥「お疲れ様」

春香「えへへ、ありがとうございますわざわざ」

小鳥「ホント、噂通りの大盛況じゃない」

春香「いえいえ、子供たちもみんないい子で。私もあんな子供が欲しいですよ~」

小鳥「確かに、子供はいいわよねぇ……っていけない! 私園長先生に何の挨拶もなしに!」

小鳥「ちょ、ちょっと春香ちゃん悪いけど先に言ってて! すぐ戻るから!」

春香「あ、は、はい」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:35:18.96 ID:o9KAO4c2P

小鳥「っと、改めてお邪魔します~……って誰もいない? お昼寝の時間とかありそうだしあんまりうるさくできないわよね……」

小鳥「園長先生はいらっしゃいますかー?」

小鳥「……いないのかしら、あれ?」

小鳥「うわぁ、可愛い絵。ふふっ、みんな上手じゃない」

小鳥「あら? これは……写真、みたい」

小鳥「……何、これ……あっ」


――

「ふっふっふ……計画は順調に進んでいる」

「これは復讐だ、高木よ」

「もう貴様は我が手中にある」

「……ついにこの時がきたか」

「それでは、いざ我が計画の元に」

「音無小鳥よ」

「……はい」

――


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:40:18.62 ID:o9KAO4c2P

小鳥「……あ、あれ?今私……」

小鳥「ううん、きっと気のせい」

小鳥「……気のせいや夢だったらいいな」

小鳥「こんな時に、思い出しちゃうなんて……」

小鳥「私は……」


小鳥「っていけないもうこんな時間! 春香ちゃんが待ってるんだった!」

小鳥「挨拶は……後でいいよね! お邪魔しました!」

――


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:46:00.02 ID:o9KAO4c2P

~~

「私はロボット」

「今でいうところの高性能ロボットなのかな?」

「誰がどんな目的で作ったかは知らない」

「でも、一つだけ覚えてる、って変なのかも。ロボット的にいえばプログラムされていること」

「音を無くせ」

「信じられますか? あろうことか私みたいな女性に! そんな昔のゴツイロボット映画じゃないですから!」

「……でも、体が勝手に動くんです。音楽、いえ人々が輝く場所へ」

「それにしても音っていう表現が広すぎるんですよ。シーンとしてればいいのかなぁなんて思ったり」

「でもきっと、違うんですよね。私を作った人はきっと恨みがあった」

「だったらそれに従わなきゃ、でしょ?」

「でも今は――」

~~


9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:50:18.24 ID:o9KAO4c2P

小鳥「……今はそんなの関係ない」

春香「え? 何か言いましたか、小鳥さん?」

小鳥「あ、い、いえなんでもないのよなんでも!」

春香「?」

小鳥「よし、時間内に戻ってこれたわね!」

春香「只今戻りました!」

P「おぉ春香、おかえり。どうだった?」

春香「はい! 今日も皆元気で楽しんでくれました!」

P「そうかそうか、でも結果は出てるぞ? おかげで近くにライブをしてくれって頼まれてな」

春香「え、本当ですか! うわぁ、楽しみだな~ でも、私も好きでやってるところありますから!」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:54:44.02 ID:o9KAO4c2P

P「あはは、それは心強いな。っと、音無さんもありがとうございました」

春香「あ、そうです! 小鳥さんありがとうございました!」

小鳥「いえいえこれくらいなんてことないですよ」

高木「おや、みんなで盛り上がっているようだね」

P「あ、高木社長おはようございます!」

小鳥「高木、社長」

高木「うむ……音無君、おはよう」

小鳥「おはようございます」

P「?」

~~~


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 20:59:39.47 ID:o9KAO4c2P



「なんていうか、記憶は断片的にしか保存されてないみたいで」

「私がなんなのか、っていうのは名前とロボットってことくらいで」

「でも、高木社長の顔を覚えてるんですよね」

「常識を知っていくたびに、あぁやっぱり自分は普通の人と違うんだ」

「年を取らない、ロボットなんだ。って」

「年齢を聞かれちゃったときは焦って2Xって言っちゃったけどもっと若くても絶対行けたって思う!」

「……気が付いたらすごく毎日が楽しくって」

「ホントは私ロボットなんかじゃなくって人間なんじゃないかって!」

「だって、普通にご飯も食べて、寝て、出すもの出せて。そういう欲求もあるんです!」

「本当のことを思い出して、でも今の現実があって……」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:04:19.95 ID:o9KAO4c2P

「悩んで仕事を休んじゃったこともあったかな」

「でも、日に日に私の中の黒い野望はカラフルな思い出で少しずつ上から塗られていって」

「もう、忘れちゃいたい。ううん、忘れたの。なんて思い込んでたけど所詮はロボット」

「高木社長に会ってから。と言っても彼と始めて会った頃ってくらい記憶の一番深いところ」

「思い出しちゃうんだよね……社長の顔を見ると。いやじゃないんだけれど、やっぱり複雑で」

「忘れたくても、忘れられないんだって」

「それから、私はロボットなんだって――」


――
―――


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:09:19.51 ID:o9KAO4c2P

小鳥「社長」

高木「……」

小鳥「高木社長!」

高木「お、おおっと! す、すまん少し考え事をだね……」

小鳥「全くもう!……どうせ私のことじゃないんですよね?」

高木「……」

小鳥「ほら。こういう時くらい冗談でも、いや君のことを考えていたんだ、くらい言えませんかねぇ……」

高木「私がそういうことに疎いの、君が一番知っているだろ?」

小鳥「もう、終わるたびにこんなんじゃいつか病んじゃいますよ?」

高木「……そうだな。私としてもこのままではいけないと思っているんだが」

小鳥「……ね、社長」

高木「音無……君……」

小鳥「今は何も考えずにもう一度……ね?」

高木「……すまない」

――


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:14:40.50 ID:o9KAO4c2P

高木「私は……正しいのだろうか」

小鳥「ほらまたすぐそうやって」

高木「……」

小鳥「……でも、後悔はしてないんですよね?」

高木「それはもちろんだ」

小鳥「即答してくれたのは嬉しいです」

高木「それは喜んでいいのか……即答できる立場にあるとは思えないんだけれど」

小鳥「別にいいじゃないですか」

高木「……」

小鳥「後悔してないですよ。私だって」

高木「音無君……でももう……」

小鳥「別れたい、ですか?」

高木「……」

小鳥「こんな不純な関係は嫌、とか?」

高木「それは……」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:19:50.58 ID:o9KAO4c2P

小鳥「即答してくれたのは、やっぱり後ろめたさを隠すためだったんですか?」

高木「……」

小鳥「……ちょっと、ショックかな。でも、なんとなくわかりますから」

高木「音無君……」

小鳥「できれば名前で呼んで欲しいかな……なんて」

高木「……ひとまず服を着たまえ」

小鳥「……それじゃシャワー行ってきますね」


小鳥「これで、もう終わり……」

小鳥「……ごめんなさい」


高木「……私は何をやっているんだ」

高木「許してくれ小鳥……」

高木「……許してくれ」

―――
――


19: さる怖いけどこの速度でいいのかな 2012/10/27(土) 21:24:26.47 ID:o9KAO4c2P

P「社長、どうかなさったんですか? 小鳥さんも黙っちゃって」

高木「ん? あぁ、すまんすまん。ちょっと考え事をしていてね」

P「そういえば最近社長と小鳥さんって一緒にいますよね? って当たり前っちゃ当たり前なのかもしれないですけど」

高木「そ、そんなことは無いと思うが……」

春香「何やら大人の雰囲気で……もしかして付き合ってたり?」

小鳥「……付き合ってたら、どうする?」

P「え?」

高木「ちょ、ちょっと音無君!?」

春香「あ、いや……その……」

P「お、おい春香! すみませんなんか……」


21: サンクス 2012/10/27(土) 21:29:52.37 ID:o9KAO4c2P

小鳥「まあもちろん冗談ですけどね!」

春香「そ、それはそうですよね! あ、あはは! すみませんなんか変なこと聞いて!」

高木「別にいいのだよ。……それじゃあ私はちょっと出てくるとしよう」

小鳥「はーい、行ってらっしゃいませ!」

春香「あ、はい! お気をつけて!」

小鳥「……ふぅ」

P「音無さん……?」

小鳥「ふふっ……」


高木「……」

――


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:34:38.95 ID:o9KAO4c2P

「その昔私は一人の女性に恋をした」

「話もあっという間に弾んで仲も良くなったのだが」

「一緒になろうという望みを彼女は拒んだ」

「私は諦めきれなかった」

「あの女性に惹かれてならないのだ」

「そこで私は一人の友とアイドル事務所を立ち上げた」

「彼も私と同じ思いを抱えていたライバルだった」

「しかしそれもうまく行くことはなく、すぐに衝突してしまい彼は私の前に二度と姿を現さなかった」

「そして彼女はアイドルとして人前に立つどころ前にいなくなってしまったのだ」

「その後、事務所の経営により生活は逼迫、死線をさまようギリギリの生活をして数年」

「彼女を見つけたのだ」

「言わずもがな、声をかけたが別人だったようで」

「信じられなかったが見た目が全く変わっていないことから受け入れることしかできなかった」

「だが、昔の思い出に重ねてみてもなんら違和感のない」

「雰囲気や声、性格、そして名前。彼女は年を取っていないまま再び現れたのではないかと」


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:39:44.50 ID:o9KAO4c2P

「単なる偶然、そう……しかしそう思うほど私は冷静ではなかった」

「故に何もせずにはいられなかった私は」

「彼女を雇った。しかしアイドルではなく事務員として」

「年は取っていてもそこにいる彼女を思う気持ちはあの頃のようで」

「とある会社の事務員と社長」

「それ以上になることもそれ以下になることもない」

「そんな関係が続いていたんだ」

「今の彼女に昔の彼女を重ねて」

「そんなことを彼女にほのめかしたことがある」

「しかし似ている彼女がいた、くらいにしか受け取ってもらえないことがむしろ後ろめたくて」

「それでも、今の現状から切り離されることが怖かったのだ」

「私は、一体……」

「すまない……」



――
―――


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:44:13.94 ID:o9KAO4c2P

高木「いつものバーにいるさ。あぁ、それじゃあまた」

高木「マスター、いつもの頼むよ」

高木「……ん?今日は違う人か」

~♪

高木「良い声だ……」

……パチパチ

高木「……ちょっと、彼女を呼んではくれないか?」

小鳥「どうもこんばんは!」

高木「いやぁ、すまないね。良い声だった」

小鳥「ありがとうございます。お一人で?」

高木「いや、もう一人来るはずなんだが、女みたいなやつでね。準備に手間どってるらしい」

小鳥「あはは、それはそれは」

高木「……何か、声の仕事をしているのかい?」

小鳥「いえ、ここで歌わせてもらったのが初めてです」

高木「なんと……」


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:48:46.70 ID:o9KAO4c2P

黒井「悪い遅れた……っとそちらの嬢さんは?まさか高木、これを自慢するために呼んだんじゃなかろうな?」

高木「そうだったらどれだけ嬉しいか。違うよ、ここの人だってさ」

黒井「そんなことはわかってる。お前にそんなのができたら、電話で話さないわけがないからな。よろしくな嬢さん」

小鳥「あら、綺麗なお兄さんだこと。お話し通りね高木さん」

高木「あっ」

黒井「……高木お前何か言ったのか?」

高木「ま、まあまあとりあえず座れよ」

――


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:55:20.99 ID:o9KAO4c2P

小鳥「それじゃあお二人は同じ大学を出て」

高木「かっこつけてるけどいわばフリーターにもなれてない」

黒井「どっかの言葉でニートとか言うらしいがな」

小鳥「そうなんですか。音楽関係……」


黒井「それじゃあまたな、高木」

高木「あぁ、それじゃあ」

小鳥「またいらしてくださいね」

高木「……ちょっといいか?」

小鳥「……?」


高木「いわゆる一目ぼれというやつなんだ」

小鳥「……」

高木「また、くるから。それまでに考えておいてくれないか? できれば食事でも」

小鳥「……はい」

高木「……それじゃ」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 21:57:55.75 ID:o9KAO4c2P

――

高木「ふぅ……よし!」

高木「こんにちは……っと、黒井来てたのか」

黒井「……二度は負けんよ」

高木「またそういうことを。それで、彼女は?」

黒井「……準備してるんじゃないのか?」

高木「そうか……なぁ、黒井。ちょっといいか?」

黒井「なんだ……またどうせろくでもないことを……」

高木「これだ」

黒井「……宝くじでも当てたのか?」

高木「うまくいかなければ首をくくる覚悟だ。これで会社を興すんだ、彼女がいれば夢じゃないだろ?」

黒井「高木……お前ってやつは」

高木「どうだ、できれば黒井、お前とやっていきたいと思ってるんだ」

黒井「……そうだな。俺は」

小鳥「あら高木さん、来てらしたんですね」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:04:15.01 ID:o9KAO4c2P

高木「おぉ、ちょうどよかった!」

黒井「……」

小鳥「あ、えっと……ちょっといいですか?」

黒井「あぁ……」

高木「ん?」


小鳥「すみません、お待たせして」

高木「いやいや。あ、ちょうどよかったというのは別の話だったんだけどな」

小鳥「あっ、そうだったんですか。じゃあそれを」

高木「いや、先に答えを聞かせて欲しい」

小鳥「あっと、えぇと……ありがたいんですけど、今はそういうこと考えられなくって」

高木「そうか……」

小鳥「ごめんなさい……」

高木「いや、いいんだ……あ、それでだ。実は会社を……」


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:10:39.85 ID:o9KAO4c2P

黒井「高木」

高木「黒井? どこに行ってたんだ」

黒井「……トイレだ」

高木「あぁ、そうか。ちょうどこれから会社の話が……あれ? 彼女は……?」

黒井「高木」

高木「なんだ、それより彼女は……」

黒井「……悪いな高木。俺も彼女に告白した」

高木「なっ! ……だから来た時に二人で」

黒井「だが俺はダメだった……お前に負けたわけじゃない。が、これはこれだ。俺たちもこれっきりにしようじゃないか」

高木「お前何言って……いや、俺だって」

黒井「……じゃあな」

高木「おい黒井……黒井!!」

―――
――


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:14:25.58 ID:o9KAO4c2P

小鳥「……ふふっ」

P「へ?」

小鳥「あ、いえ! 気にしないでくださいいつもの妄想ですよ!」

春香「おはようございます!」

小鳥「あ、おはよう春香ちゃん。あれ? リボン変えた?」

春香「あっ、わかります? たまには変えてみようかなって!」

小鳥「いいじゃない! 似合ってるわ! いつも赤のイメージがあったから、たまには他の色もいいわね~」

春香「そうですね。そういえば小鳥さんもいつもカチューシャですよね?」

小鳥「え?あぁ、でも私はこれといって表に出るわけでもないし」

春香「じゃあ、とりかえっこしません?まだ時間ありますし」

小鳥「え?」

春香「髪型もそんなに遠くないんで、それっぽく見えるかもーなんて!」

小鳥「え、えっと……えぇ、そうね。やってみましょうか!」

春香「それじゃあ失礼して……ど、どうですか?」

小鳥「わぁ~……あ、あれ?」


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:20:03.81 ID:o9KAO4c2P

小鳥(あの姿……まるで……)

春香「小鳥さん?」

小鳥「へ!?あ、う、うん!とっても似合ってる!小さいころの私みたい!……小さいころの」

春香「ホントですか!よかった~。それじゃあこれ、小鳥さんも!」

小鳥(小さい頃の私なんて……生まれた頃から私は……)

小鳥「よいしょっ、と。……どうかしら」

春香「うん!とっても似合ってます!」

P「おぉ、二人で取り換えっこですか」

春香「見てくださいよプロデューサーさん!」

P「おっ、似合ってるじゃないか春香。小さい音無さんみたいだ。というか、姉妹みたいだな」

小鳥「姉妹……」

春香「やめてくださいよプロデューサーさん! 音無さんとは年が離れすぎて……ってあっ! ち、違います! そう言う意味じゃ!」

小鳥(姉妹……家族……そうね、ここにいるとよく聞く言葉。最初は単なる単語にしか思わなかったけど……)



小鳥「ごめんなさい、私ちょっと……」
~~


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:25:43.31 ID:o9KAO4c2P

小鳥「ここは……あの施設?」

小鳥「なんで私、いつのまに……」

小鳥「……こっち。こっちに何か……」

小鳥「あった……そう、この写真」

小鳥「あ……」

小鳥「これ、私のカチューシャ……」

小鳥「……膝に座ってるのは、春香ちゃん……よね」

小鳥「そんなことって……」

「何かご用ですか?」

小鳥「あっ! い、いえ! す、すみません勝手に」

「それはいいんです。でも、随分と難しい顔をしておられたので」

小鳥「……この写真は、ずっと前からあるんですか?」

「あぁ、それはちょうど……10年くらい前になりましょう。仲のいい親子で」

「しかし……母親が急にいなくなってそのままこちらへ。その最後の写真だったかと」

小鳥「そう、ですか……」


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:29:44.24 ID:o9KAO4c2P

小鳥「……私は、ロボット」

小鳥「子供なんて、生めるはずないの」

小鳥「でも、もし……もしそんな過去があったとしたら」

小鳥「忘れてたじゃ、絶対にすまない」

小鳥「あり得ない、どうすることもできないかもしれない、けれど知りたい」

小鳥「それが私の……”音無小鳥”としての意思よ」

小鳥「……また、いつか意識が遠のくかわからないけれど」

小鳥「必ず本当のことを手にいれてみせる……だから、待っててね春香ちゃん」


小鳥「もちろん、私のためにも……」

――


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:34:09.90 ID:o9KAO4c2P

P「あ、音無さんおはようございます」

小鳥「すみませんプロデューサーさん! また少し、出てきてもいいでしょうか?」

P「あ、それは別に構わないですけど……」

小鳥「ありがとうございます!」

P「……音無さん?」


高木「どうかしたのかね」

P「あ、いえ。ここのところ音無さんが毎日どこかに……」

高木「これはまた、それは一体どういう?」

P「わかりません……けど、行先の見当はついてるんです」

P「……いつも、春香が出かけたときを見計らって出てるんです」

――


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:42:36.99 ID:o9KAO4c2P

小鳥「……いた、春香ちゃん」


小鳥「本当、楽しそう……でも、もし私の推測が合ってたらそれはとんでもないこと」




小鳥「……私は、笑顔を奪うためにここに来た訳じゃない」




小鳥「音を……いえ、私だって本当はそんなこと……う、あ……」




春香「小鳥さん!!」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:47:32.42 ID:o9KAO4c2P

小鳥「あ、は、春香ちゃん……?」

春香「だ、大丈夫ですか!?」

小鳥「え、えぇ……ちょっとめまいがしただけよ、大丈夫。春香ちゃん、いいの?」

春香「はい、今ちょっと時間もらってきたので……それより小鳥さん」

小鳥「どうしたの?」

春香「……ごめんなさい!!」

小鳥「……え?」

春香「その……この前のカチューシャを取り替えっこしたときに……すごい失礼なこと言っちゃって」

小鳥「あ、い、いえあれは違うの! いいのよ、あれくらいで怒ったりしないわ」

春香「ほ、本当ですか?」

小鳥「えぇもちろん。そっか、あの時私ほっぽり出してここに来ちゃったんだっけ……ごめんね?」

春香「そ、そんな! でも、何かあったんですか? その、ここにも毎日来てるみたいで、実はそれも心配で」

小鳥「その、カチューシャを見てちょっと思い出したことがあったの」

春香「カチューシャ……あ、だからあのとき……でも、それとここの施設に関係があるんですか?」

小鳥「……春香ちゃんには話してもいいのかな」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:51:27.85 ID:o9KAO4c2P

春香「……え?」

小鳥(本当のことは、言えないけれど。親身になってくれそうな気がしたから)


小鳥(嘘をついてでも今の不安を取り除きたかった)

小鳥(私がなんなのか、私はロボットなのに、どうして子供の記憶が……それに春香ちゃんも……)

小鳥(このままじゃ、私は壊れてしまう。それはロボットしてか、音無小鳥としてかわからないけれど)

小鳥「……私ね、記憶がちょっと欠けてるのよ」

春香「え……?」

小鳥「それで、あのときカチューシャを見て、ふと思い出したというか、頭の中に浮かびあがってきて」

春香「そういうことだったんですね……その記憶のものが、ここにあるんですか?」

小鳥「あ、いえ、それはまだわからないけれど……」

春香「そう、なんですか」

小鳥「……私の子供、かもしれない」

春香「子供……え? こ、小鳥さんの?」

小鳥「……ごめんなさい、まだ細かいことは言えないんだけど」

春香「い、いえ! それはもちろん深く聞く気はないって言うか!」


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 22:56:24.26 ID:o9KAO4c2P

小鳥「でも、春香ちゃん。このことは誰にも言わないで欲しいの。今普通に生活する分には問題ないことだし」

春香「……わかりました。でもそのかわり、私でよかったら相談に乗りますから! ……ってまたちょっと生意気かもしれませんけど」

小鳥「そんなことない! むしろ、心強いかな。ありがとうね、春香ちゃん!」

春香「い、いえ! あ、それじゃ私行ってきますね! 小鳥さんも頑張って!」

小鳥「えぇ、ありがとう」


小鳥(……人に話すということがこれほど怖いことだったなんて)

小鳥(春香ちゃんすごくびっくりしてた)

小鳥(これがもしロボットだって知ったら……?)

小鳥(春香ちゃんだけじゃない、他の子はどんな反応をするのかしら……)


小鳥(……春香ちゃんが、私の子供だったら)



小鳥「……私が一番危ないかもね」

~~~


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:00:00.50 ID:o9KAO4c2P

「私に家族なんていない。でも、ここにいると不思議とそんな心が癒されて……」

「もし家族、というものがあるとしたら。それは、どんなものなのかしら……」

「この765プロのように、笑顔が絶えない賑やかなもの?」

「プロデューサーさんが叱ってるときはまるでパパみたい」

「律子さんの怒鳴り声で忙しそうな事務所はまるで朝の風景みたいで、さしずめ律子さんはママかしら」

「……私は欲しいの?」

「そんな安心する自分の居場所が」

「信頼。それもまた一つの安心」

「でもそれ以上に、切っても切れない親子の縁というものが今の私にとてつもない安心を生み出すような気がして」

「でもそれは、本当の親子なの?」


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:04:37.52 ID:o9KAO4c2P

「子にすがる親は本当に親なの?」

「それでも親と言い続けていいの? 言い続けられるの?」

「それが……事務所のアイドルだったら」

「私は、どんな風に生きていけばいいの?」

「わからない、もう何もわからない……」

「もういっそ、どこか大事な部品が飛んでこのまま動かなくなってしまえばいい……」

「そんな風に単純に考えてるのは私がロボットだからですか」

「それとも、”ロボット”に心を乗っ取られているからですか」

「一旦電源を切りましょう」

「いつもはロボットなのに、眠りにいざなわれるような感覚、なんて贅沢なんだろうって」

「今日は、電源を切りたい、そんな気分で」

――


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:07:43.87 ID:o9KAO4c2P

春香「おはようございます」

P「おぉ春香、おはよう」

春香「……小鳥さんは」

P「あぁ、またいないな」

春香「そう、ですか」

P「……春香」

春香「はい?」

P「何か、知ってるか?」

春香「……いえ」

P「……そうか」

春香「でも、大丈夫だと思います。小鳥さんはああ見えてしっかりしてるんです!」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:11:26.72 ID:o9KAO4c2P

P「しっかりしてるって、ははっ。春香は最近毒が強くなったのか、小鳥さんには容赦がないな」

春香「あっ! ま、また……あんまり意識してないんですけど……」

P「なんていうか、この前の親交で距離が縮まったからじゃないか?」

春香「え? あ、カチューシャの」

P「うん」

春香「確かにそうかもしれないです。そのせいで小鳥さん悩んでるし……」

P「……春香?」

春香「……あっ」

P「……」

春香「小鳥さんごめんなさぁいぃ!!」


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:15:46.98 ID:o9KAO4c2P



P「なるほどな……」

春香「記憶ってその人にとって大切なものだし、わかる気がします。それに……子供って言ったら」

P「うむ、俺も初耳だったからなぁ」

春香「多分今日もあそこに行ってると思います」

P「……わかった、ちょっと俺が様子を見てくる」

春香「あ、はい!」

P「っと、でもそうすると事務所が……」

ガチャッ

高木「おはよう、っと君か」

P「あ、社長おはようございます。えっと、ちょっと出てくるので頼めますか?」

高木「ん? あぁ、そういうことなら任せたまえ」

P「ありがとうございます。それじゃ、行ってくる春香」

春香「お願いします!」

高木「……?」


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:19:25.30 ID:o9KAO4c2P

――

小鳥「……何度ここに来たって情報なんて」

小鳥「いえ、あることにはあるのよ……でも施設の中なのよね」

小鳥「あー! こうなるなら最初から春香ちゃんに頼んで中に入れてもらえばよかった!」

小鳥「……とはいっても仕方ない。今日は帰りますか」

P「あ、いたいた」

小鳥「……あれ? プロデューサーさん?」

P「どうも、音無さん」

小鳥「ど、どうも……えっと、どうしてこちらに?」

P「あー……その」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:23:08.51 ID:o9KAO4c2P



小鳥「……なるほど」

P「すみません、聞くつもりはなかったんですけど……春香も悪気があったわけじゃないと思うんで許してやってください」

小鳥「ま、いいですよ。大したことじゃないというか、迷惑かけたくなっただけなので」

P「そういっていただけると。えっと、それで」

小鳥「え? あ、ちょっとなんていうか、確証がつかめなくて迷走してるというか。あはは……」

P「何か手がかりみたいなものはないんですか?」

小鳥「手がかり……一応、この前思い出しかけたのは施設内の写真を見たときだったんですけど」

P「写真……施設に関係があるんですか?」

小鳥「あ、い、いえ! そうと決まったわけじゃなくて、多分、この土地とかに見覚えがあるだけですよ」

P「なるほど、あ、それじゃ見せてもらいましょうか」

小鳥「え!? い、いいんですかそんな急に」

P「確かこの時間はその部屋、使ってなかったと思うので。園長先生に聞いてみます」

小鳥「あ、はい、ありがとうございます!」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:27:41.65 ID:o9KAO4c2P

P「っと、許可もらってきました」

小鳥「いや、ホントすみません」

P「いえいえ、勝手についてきちゃったのでこれくらいは」

小鳥「えっと……うわぁ、やっぱりこの雰囲気好きだなぁ」

P「いいですよね。子供たちの書いた絵にはなんていうか、勇気をもらえます」

小鳥「あはは、そうですね。プロデューサーさんもなかなか粋なことをいいますねー」

P「そりゃ、感受性が豊かじゃなきゃプロデューサーなんてやってませんよ?」

小鳥「ツッコミはなしでお願いしますね~」

P「なんと……」

小鳥「……っと、この辺かな」

P「……これは」

小鳥「……あ」

P「……音無さん?」


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:32:05.88 ID:o9KAO4c2P

小鳥(このまま見てもらってもいいのかしら……)

小鳥(もし、そんな事実が……ううん大丈夫、プロデューサーさんだもの)

小鳥「……そっくりですよね。だから私もちょっと気になって」

P「……あ、これは?」

小鳥「はい? ……えっ」


P「小鳥さん、に似た女性と……男性が写ってますね……これは」

小鳥「……――」

P「……高木社長?」

小鳥(……若い)

小鳥(でも、これは……社長だ)

小鳥(……それで、この下に写ってる子)

小鳥(……春香ちゃん?)

小鳥(わたしと……しゃちょうの……むすめが……いえ)

小鳥(はるかちゃんのちちおやが)

小鳥(しゃちょう?)


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:36:19.27 ID:o9KAO4c2P

P「小鳥さんこれは一体……小鳥さん?」

小鳥「……」

P「だ、大丈夫ですか?」

小鳥「……帰ります」

P「あ、えっと……」

小鳥「……」

P「音無さん……」

――
「そんなこと、あり得ない」

「だって私はロボットなんだから……」

「でも、それは春香ちゃんを否定すること?」

「社長を……社長も……? 私……」

「記憶が……戻ってこない」

「い、いえ違う。違う!!」

「そんな記憶、元からない……ないの」

「……社長」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:40:23.03 ID:o9KAO4c2P

――
小鳥「……戻りました」

高木「あぁ音無君か。ご苦労様」

小鳥「……」

高木「……ん?」

小鳥「……高木社長」

高木「なんだね?」

小鳥「ひとつ、お伺いしてもよろしいですか」

高木「……あぁ」

小鳥「……その」

春香「あ、小鳥さん! おかえりなさい!」

小鳥「っ!!!」

春香「え?」

小鳥「……ごめんなさい」

ダッ バタン


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:44:34.20 ID:o9KAO4c2P

高木「あ、ちょっと、音無君! ……一体どうしたというのかね」

春香「あ、えっと……わ、私?」

高木「あ、いや天海君が気にすることはない。彼女といえど、悩みの一つや二つあるだろう。きっと……ね」

春香「社長……はい。……小鳥さん」

――

P「……あれは、社長だったのか?」

P「だとしたらあの女性は……それに」

P「座っていた女の子。あれも……一体どうなってるんだ」

P「音無さん……」

「用件は済みましたか?」


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:48:42.95 ID:o9KAO4c2P

P「あ、どうも園長先生。はい、おかげさまで」

「それはそれは」

P「……それで、一つお伺いしたいことが」

「なんでしょうか?」

P「あの写真について……」

「……残念ですが、プライバシーにかかわることですから」

P「……そう、ですよね」

「……ですが、プロデューサーの方でしたよね?」

P「あ、はい」

「……人を紹介しましょう」

P「……え?」

――


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:53:52.27 ID:o9KAO4c2P

「……私は、何をやってるんだろう」

「今まで普通に生きてきたのに」

「ここにきて、人間への欲が出たかな」

「なんて、変なセリフを格好つけて言ってみても変わらない」

「……一つずつ考えてみよう」

「もし、そんなことがあったとするなら。私が記憶を失っている」

「そして、気が付いたら春香ちゃんが……って違う」

「……高木社長と、関係を持っている」

「……どうして……私は」

「……ダメ、ここで落ち着かなきゃ何も始まらないもの」

「……もしそうだとしたら、家族になるわけで」

「春香ちゃんは、すんなり受け入れてくれるのかしら」

「社長は……無理、かな」

「……いつだったかしら」

「やよいちゃん。長介君と喧嘩して事務所に閉じこもっちゃって」


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:56:29.77 ID:o9KAO4c2P

「珍しいこともあるもんだ、ってプロデューサーさんはかくまってくれてたけど」

「どっちもどっち、ってことをわかってたプロデューサーさんは電話であっという間に解決」

「……兄弟っていいなぁ。そう思った」

「亜美ちゃん真美ちゃんはいつでも仲良し。でも、ある時大ゲンカしちゃって」

「片方だけ先にきて、明らかに悲しそうにしてるんだもん」

「亜美が悪い、真美が悪いって水かけ合戦? でもすぐにプロデューサーさんが解決」

「仲直りしたらしたで、すぐイタズラされてたっけ。プロデューサーさんもさんざんだっただろうなぁ」

「他の子もみんな、みんなここが家族だけど、やっぱりもう一つ家族を持ってて」

「それが、かけがえのない存在で……でも、それが私にはなくて……」

「いつも、事務所に残ってみんなのこと見守ってた。ううん、違う」

「うらやましいなって、そういう目で見てたの」

「こんな風に生まれて、気が付いたらあんな命令されてて」

「好きな事言い合える、喧嘩できるような兄弟が欲しかった」

「帰ったら料理ができてるよって笑顔で迎えてくれる母親が欲しかった」

「厳しいけど頼りになるような父親が欲しかった」


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/27(土) 23:59:31.15 ID:o9KAO4c2P

「抱きしめて欲しかった」

「その温度さえわからない私は」

「今、涙を流して一人の人のことを考えています」

「高木社長」

「記憶がないの。でも、どうしてこんな気持ちになるんですか」

「貴方と体を重ねたからですか? 私には記憶がないのに」

「でも、あっちだけ覚えていたら? 私が覚えていないことを理由に手を引いてくれていたのかもしれない」

「でももうそんなことはどうでもいいの」

「そういう風に感情を入れてしまったら、無関心でいるなんて私にとって拷問と同じ」

「愛に飢えた女性は、もう引き下がれないの」

「ロボットだって女性なの。例外はないのよ?」

「……できることなら社長と結ばれたい。そして、春香ちゃんも一緒に」

「私の気持ちはまとまりましたよ? ダメなら今まで通り生きていくだけ」

「……神様がいるなら、この先はどんな結末になるのか。教えてくれなくていいから、そこまではこの身体を」

「”人間”として認めて欲しい」
――


66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:04:34.72 ID:GbpiUnP0P

――

小鳥「……ただいま戻りました」

高木「……あぁ」

春香「おかえりなさい」

小鳥「……さきほどは、すみませんでした」

高木「いや、いいんだよ」

春香「小鳥さん、大丈夫ですか?」

小鳥「えぇ、もう大丈夫」

高木「よかった、さっきの続きを聞こうか」

春香「あ、私邪魔なら……」

小鳥「いいわ、春香ちゃんも聞いて」

春香「あ、は、はい……」

「的外れだと返されても仕方ない。それでも手に入れたいものがあるから」

「乙女は当たって砕けろよっ!!」


小鳥「社長」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:07:28.24 ID:GbpiUnP0P

高木「なんだね?」

小鳥「貴方は私のなんですか?」

高木「ん……」

小鳥「……答えていただけると幸いです」

高木「……最高の事務員、ではダメかね」

小鳥「他の答えがあるなら……ぜひ」

高木「ふむ……」

小鳥「……なら、私との関係は覚えておりますか」

高木「なっ! ……いや、それは」

小鳥「答えてください! 社長、お願いします!!」

高木「……私は」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:12:08.53 ID:GbpiUnP0P

――
「最高の友人がいた」

「同じ人を好きになった」

「だが、相手を出し抜いてしまった。そのせいで親友を見捨てることになってしまった」

「そんな話を聞いたことはないか」

「有名な小説、こころ、だ。まさにそんな再現だった」

「設立の話を持ち出した時、奴も乗り気だった」

「だがその後に音無さんに呼ばれて一転したのだ」

「奴はこう思っている、私のせいで振られたと」

「私が振られたことをあいつは知らない」

「だが、私はそれを言わなかった」

「言わなければまだチャンスがあると思ったからだ」

「卑怯、その一言に尽きる。それでも彼女は私にそこまでさせるだけの魅力を持っていた」

「私はその後ろめたさを顧みず、断られても断られても、誘い続けた」

「そしてついに、彼女は私に振り向いてくれた」

「だがそれは、音楽を介さないという条件で」


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:16:08.30 ID:GbpiUnP0P

「そのときすでに私は、彼女を女性として愛してしまっていた」

「ただ本能に身を任せた。……その結果」

「それ一度きり、以降会う事はなかった」

「親友を失い、彼女も失った俺はやはりどうすることもできなかった」

「それでもなんとか、彼女を探し続けた。生涯愛すべきだと確信すらしていた」

「愛し続けることが、彼への償いでもあると信じ、自分に言い聞かせた」

「時を経て彼女に会う」

「何度か記憶を重ねることは合ってもそれ以上はない、というよりは私が拒絶してしまう」

「これ以上遠いと不安になる。これ以上近いと罪悪感に押しつぶされてしまうのだ」

「私は臆病な人間だった。それでいて狡猾だと自分でも思った」

「自らに押しつぶされないように彼女に彼女を写して保とうとすればするほど自分が擦り減っていく」

「もう、限界ではあった」

「愛し、疲れた」


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:20:47.87 ID:GbpiUnP0P

「……それでも愛したい」

「そんな女性だった。そんな女性が今目の前に経って、私に何かを問いかけているではないか」

「糾弾されるのか、それもまた一つだが」

「いっそのこと、すべて跡形もなく打ち砕いて欲しい」

「これ以上汚れることのない思い出に、しがみつくような私ごと」

――

高木「私は……もう」

P「待ってください」

高木「なっ、君……」

P「……音無さん。高木社長。すみません、一旦」

小鳥「プロデューサーさん……ごめんなさい、今社長と……」

高木「ちょ、ちょっと待とうではないか音無君……それで一体どういう……」

P「……すべて、わかりました。でも、それをすべて伝えるには俺には重すぎます」

小鳥「……」

P「……でも、伝えなきゃいけない。そんな、事実があったなんて予想もしてませんでしたから」


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:24:10.73 ID:GbpiUnP0P

――

黒井「ん? 誰だ? ……765のプロデューサーか」

黒井「……写真?」

黒井「……まさか、音無小鳥が嗅ぎつけたか」

黒井「それはまた、因果というやつか……」

黒井「よかろう、お前にすべて話す」

黒井「そのかわり、すべてだ。一つも残さず持っていけ」


――


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:29:23.24 ID:GbpiUnP0P

「俺には友がいた、友と呼べる一人の男が」

「しかし、それはあっという間に崩れ去った」

「同じ女を好きになるということが、こんな身近にあるとは思わなかったが」

「それより衝撃であったことは、彼女に言われたこと」

「貴方とは付き合えない、そして」

「奴が先に告白していたことを告げられた」

「許さない、同じ土俵に立っていながらも抜け駆けをした奴を」

「奴が最低であることの証明を、いくつも送りつけた」

「半ばやつあたり、いや報復のつもりだったのだが」

「予想に反してしばらくしてから彼女は私の元へと舞い込んできた」

「ただ、その条件はあまりにも大きかった」


「高木の子供がいる」


「そう告げられた時、何を言うべきか迷い、この私でさえ躊躇した」

「何故恋敵の子供がいる? そんな汚れた女を引き取らなければいけない?」


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:32:29.59 ID:GbpiUnP0P

「そう思うとより怒りが増したが、このまま説伏し高木の元に帰らせ幸せに暮らしていくのをただのうのうと見るのは癪に障る」

「その子供と共に暮らすことを了解した」

「そして、子供は生まれた。娘だった」

「償いにとその子は貴方が育てて。そう言ったのは彼女」

「……子供に因果を背負わせるほど、私も落ちぶれていない。つもりだった」

「成長するにつれてその子は能力を開花させていった」

「なんでも言った言葉をすぐに覚える」

「音に関するセンスも記憶力も」

「……これを利用しようという、私の中の過去の憎悪が沸きあがってきた」

「復讐だ」

「風の便りで奴が音楽で成功していると聞く」

「そうだ、あの時もだ」

「俺は対して興味を持たなかった」

「音楽よりも商売に興味が合った俺は、彼女との会話でも控えめであったが」

「一目惹かれたときの彼女の歌声、それと高木が重なりやがて黒い渦に」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:36:17.34 ID:GbpiUnP0P

「決めた。この子を使って奴を釣ってやろうと」

「音を無くせ。そう教え込んだ」

「すぐ覚えた彼女はそれ以外の無駄な知識を捨てあっという間に”ロボット”へと成長した」

「あの様子はまさにそう、雛がかえりたての”刷り込み”」

「音無小鳥と名付けた」

「奴はきっと彼女を探している」

「母と瓜二つの娘を世に出せば、やつは必ずこの子を拾う」

「たとえそれが、母親と違う名前で合っても」

「私は彼女の名前を知らない。知りたくもなかった」

「ただ、利用するだけ。そう考えていた」

「母の記憶を少し教えておく。というのは彼女の提案だった」

「何を覚えさせたかは知らないが、問題はないだろう」

「その方がより”彼女”に近くなる」

「自らの娘とも知らずに手をだし、絶望すればよい。さらには音まで奪われればいい」

「そこまで考え決行した翌日」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:40:51.98 ID:GbpiUnP0P

「私は、俺は……私は絶望した」

「自らの愚行を、一時の感情に流され実行してしまったこと」

「それは自らの正義によって蝕まれていったのだ」

「悪に染まりきれていた、その考えが甘かったようで」

「私は幾度となく悪夢を見た。奴が真実を知り絶望した後、復讐として私からすべてを奪う夢だ」

「しばらくはまともに生活もできなかった」

「彼女は懸命に俺を看病してくれた」

「そして現在」

「彼女はもう私の元にはいない」

「彼女か私の”正義”かどちらが先に消え去ったかはわからないが」

「もう一人で問題はない。……そう、真向から奴と向き合うのだ」

「同じ土俵でもう一度。公平に戦うと選択したことが唯一の償いであった」

「奴に勝つ、そのためにこれまでの人生を歩んできた」

「ある程度の卑怯は五分だ。そう言い聞かせて来た」


81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:45:21.17 ID:GbpiUnP0P

「しかし俺にも転機が訪れた。音無小鳥の行方がわかったことだ」

「それも、ここまで運がいいとは」

「やつは事務員として彼女を雇っていたのだ」

「これといった事件も起こさずに」

「安堵した」

「心の底から安堵したが、黒いものが蠢いたのもわかった」

「同時に、新たに奴に対する勝負心が芽生えた」

「もう、問題はない。次相まみえることがあればこの真実を晒し、私の中での清算としよう」

「二度とこのようなことはない」

「いつか必ずまた奴を超えてやる、そう誓った」

――


83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:48:07.20 ID:GbpiUnP0P

P「……これが全てです」

P「ちなみに、黒井社長は最後にこう言っていました」

P「勘違いするな、俺はお前が謝るまで謝らない」

P「……だが、そいつは幸せにしろ、絶対に」

P「……と」

社長「黒井……が……」

小鳥「う、そ……」

春香「ぐすっ……そんな、ことって……」

――
「私は、ロボットじゃない……」

「私はロボットじゃない?」

「ただ、洗脳されていただけ?」

「……それじゃ、今までの人生は」

「もう……私は」

――小鳥

――音無小鳥


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:51:54.78 ID:GbpiUnP0P

小鳥「……はっ」

高木「……気分は、どうかね」

小鳥「……最悪です」

高木「そうか……」

小鳥「私は……私は今まで何のために!!!」

ギュッ

小鳥「えっ……」

高木「そうか、そうか……」

小鳥「あ、あの……たかぎしゃちょ……」

高木「お前が、私の娘……こんな嬉しいことがあるか……」

小鳥「あ……」

高木「小鳥に、よく似ている。あぁ、小鳥……そうか、お前も……通りで」

小鳥「あ、あ……」

高木「すまない、音無君……でも、今だけは許してくれ……」

高木「言われて、すぐに納得したよ……」


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 00:54:07.29 ID:GbpiUnP0P

小鳥「……」

高木「この後、辞めてもらっても構わない。だから今だけはこうして抱きしめていていいか……」

小鳥「高木社長は……怒らないんですか?」

高木「ん?」

小鳥「あんな、ことされて……」

高木「……」

小鳥「私だって、そんな、長い間……許せない……」

高木「……そうだな」

小鳥「私は、何の……」

高木「……私と会うためだ」

小鳥「……え?」

高木「辛かっただろう? ただ一人で生きてきた……」

高木「父も知らず母も知らず……記憶として残るは母の記憶……」

高木「私は、君を拾えたことを未だに信じられない。奇跡だ」

高木「だから、君は私と出会うために生きてきた。それじゃダメか?」


93: さるさん辛いね支援感謝 2012/10/28(日) 01:25:09.15 ID:GbpiUnP0P

小鳥「で、でもそんな……」

高木「奴に怒りをぶつけても、君の空白は埋まらない……」

小鳥「た、かぎ……」

高木「……できれば、父親として格好をつけさせてほしい」

小鳥「しゃ、ちょ……」

高木「君の恨みをすべて受け止めるから、呼んでほしい」


「お父さん?」

「パパ?」


小鳥「あ、あ、あ、ああああああああああああ」


高木「小鳥っ!!!」

小鳥「あ、ああああああああああああ!!」


小鳥「うわあああああああああああああん!!!」

――


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 01:30:40.89 ID:GbpiUnP0P

P「……ありがとうございました。おかげさまで」

「いえ、いいんですよ」

P「あの、こちらは長いんですか?」

「……そうですねぇ」

P「……」

「どうかされましたか?」

P「あ、いえ、お綺麗だなと」

「……ありがとうございます」

P「……歌とか、歌わないんですか?」

「……どうして、そう思いますか?」

P「知り合いに、似た人がいまして」

「……もう、歌うのはやめたんです」


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:00:09.93 ID:GbpiUnP0P

P「……そうなんですか」

「私は歌うことが大好きでした。でも、そのせいでこんなことになった」

「音楽と私、どちらをとるか。……そんな、若いころの過ちが今になってものしかかっているのです」

「余談でしたね……ではそろそろ時間ですので」

P「あ……最後に一ついいですか?」

「はい」

P「お名前は?」

「……どうして?」

P「似た人が、いるもので」

「……音無小鳥と申します」



P「やはり貴方が……」


――


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:21:00.66 ID:GbpiUnP0P

2時になっても規制があまり変わらないのはスレの合計なのか投稿間隔なのか……
残り10レス程度なのでよかったらお付き合いいただけるとありがたい


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:27:36.44 ID:GbpiUnP0P

高木「……ここか、あぁいいところだ大きな鳥居だな」

「いらっしゃいまし」

高木「……どうも。ご無沙汰、かな」

「そうですね」

高木「私のことは、覚えているかな」

「どうでしょうか」

高木「ははっ、これは参った……」

「今日は、どのようなご用件で」

高木「何、名前を聞いて飛んできてはいけなかったか」

「……」

高木「……またどうしてこんな」

「こんなと言いますと」

高木「施設など、確かに君らしいが」

「……せめてもの罪滅ぼしとでもいいましょうか」

高木「……」


104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:33:20.17 ID:GbpiUnP0P

高木「……」

「私の勝手で、戒めのために犠牲となったあの娘のため」

「もう絶対にあんな目にあわすまい、それを見守っていてもらうためにこの鳥居を見つけたんです」

「そんなものでは取り返せぬことをわかっていながらも」

高木「……なるほどな」

「……ご用件がないのでしたらこれで」

高木「そんなに忙しいのか?」

「……やるべきことはございますので」

高木「それにしては良くしゃべってくれたじゃないか」

「……では」

高木「わかった、用件を話そうじゃないか」

「……」

高木「……いいぞ」

小鳥「……こんにちは」


105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:39:24.76 ID:GbpiUnP0P

……えぇ、こんにちは。この方がどうかして?」

小鳥「……私だよ」

「……そんな、まさか」

小鳥「気が付くはず、ないよね。私には記憶がなかったから」

「……だって、あの人が勝手にしたこと」

高木「……あぁ、でも彼女、小鳥は俺の元へ帰ってきてくれた」

小鳥「社長、が言うには。運命、そのために生きてきたんだと」

「……そんなことが、でも」

高木「もう、大丈夫だ。お前は十分やってくれた」

「……私には、そんな資格」



小鳥「お母さん」


「……」


107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:45:12.92 ID:GbpiUnP0P

「……お母さん」


「やめて……やめておくれ……」



高木「……もう、いいんだ」

「高木……社長……」

高木「ははっ、そういえばお前からもそう呼ばれていたっけな……」

「……」

高木「ほら……」



「……私、何も知らなかった」

「……あぁ、なんということ」

「おかあ……さん」

「あ、あぁ……貴方の名前は?」

「音無小鳥。……園長先生の名前は?」

「……音無、小鳥よ……ごめんなさい……許してくれとは言わないわ」


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:50:58.14 ID:GbpiUnP0P

「いいの、もういいんだよ……」



「せめて、せめて触れることだけでも……」


ギュッ


「小鳥……」


「私の方こそ、お母さん……」


「う、うぅ……小鳥……」


「おかあさぁあん……」

――


111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 02:56:00.77 ID:GbpiUnP0P

春香「すごい、なんていうか……」

P「あぁ、あっという間だったな」

春香「はい、びっくりして、それでもって感動しちゃいました……」

P「というか俺は最初、本当に春香が音無さんの娘だと」

春香「あ、あれはカチューシャのせいですって! 私とは関係ないです、けどそんなに似てますか……?」

P「まあ、言われてみればやっぱり似てるよな」

春香「むー……まあ嬉しいですけど! これからどうするんですしょうか、あの3人」

P「今まで通り、生活するってさ。たまに会うくらいで、これから思い出を作っていこうって」

春香「うー……泣けますよねぇ……私こういうのに弱いんですよ」

P「まあ、感動の再会ではあったな」

春香「あ、ということは普通にライブとかも」

P「あぁ、呼ばれてるさ」

春香「よかった~……子供たちとも会えなくなっちゃうのかと心配してました!」

P「あ、そういえばお母様の方、歌がうまかったらしいからな。ま、精々頑張ってな!」

春香「ええぇ!? ちょ、ちょっとそんなハードル! 聞いてないですよー!」


114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 03:01:12.99 ID:GbpiUnP0P

P「あはは、さて」

春香「あ、どこに行くんですか?」

P「ちょっと、最後にな」

――
「……わざわざ報告などしに来なくとも」

P「そんなこと言って、結構気にしてますよね?」

「……それで、なんだ」

P「気になるんじゃないですか」

「もう帰っていいぞ」

P「あーもうわかりましたって。無事、全員会って、真実を知りましたよ」

「……そうか」

P「音無さんは、まだ許せないって言ってますけど。、まあ頑張ってください」

「……プロデューサー、お前は私が憎くないのか? 今は他人事だからかもしれんが、もしその境遇であったとしても」

P「……高木社長がそういう人ですから。あの人の前じゃ、憎むものも変わっていきます」

「なるほどな、結局は高木、というわけか……」

P「でも、きっと俺も心のどこかではあなたを許していないかもしれない」


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 03:06:43.47 ID:GbpiUnP0P

「ふん、上等だ。それくらいの覚悟はしてこの世界で生きているのだからな」

P「さぞかし敵が多いのでしょうね……」

「私は私なりにけじめを付けているからな。現状には満足している」

P「……あとはそうですね、彼女は鳥居処っていう児童施設で園長先生やってました」

「……ほう」

P「これくらいのものですかね。それでは、失礼します。また何かあれば」

「ふん、もう何もないことを願おう」

P「あ、もう一つ。あの人の名前を知っていましたか?」

「……知らない。お互いに名前を知ることもなく影に紛れた生活をしていたからな」

「いや、あちらは知っていたかもしれんが、私は興味がなかった」

P「……それはまた、流石と言ったところで」

「もういいだろう、早く帰りたまえ。高木の犬がいると思うと、蕁麻疹がでてしようがないわ」

P「あはは酷い言われようで……では」

「……ふん」


118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 03:18:54.20 ID:GbpiUnP0P

「……鳥居処、か」


「……ふふっ面白いではないか」


「ことりろいど―とりいどころ」


「彼女は全て、お見通しだったというわけか」

「……ふふっ、あっはっはっは!!!」


――

小鳥「……ね、高木社長」

高木「どうした? ……どうしたんだね?」

小鳥「別にいいですよ、私が好きで仕事言葉なだけですから」

高木「いやしかし……」

小鳥「それはいいんです! ……その、ですね。一緒に暮らすっていうのはどうかな、なんて」

高木「なっ! ま、まあ確かに不思議なことじゃないが……」

小鳥「ですよね! じゃ、そういうことでお願いします!」


121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 03:27:09.62 ID:GbpiUnP0P

高木「だ、だからといってねぇ……急に男の家に上がり込んでいいのかね?」

小鳥「社長が変なことしなければ問題ないですよ? あの記憶みたいな」

高木「あ、あの記憶?」

小鳥「ほら、園長……お母さんからいろんなこと教えてもらってて。だから私、あのバーでのことを覚えてたんです」

高木「え?」

小鳥「なんでも、詳しく聞いたらグイグイ行ってたとか!」

高木「なっ……ふむ、まあ若気の至りというやつだ……」

小鳥「ま、そんなことないとは思いますけど!」

高木「なるほど、そういうことか……てっきりあの時のことかと……」

小鳥「え? あの時のって、他にあるんですか?」

高木「……あいつとのその」

小鳥「え?」

高木「な、なんでもない! そうか、覚えてないならいいんだ! はははっ!」

小鳥「何やら怪しい……聞いてきちゃいますよ?」

高木「勘弁してくれ……」


123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 03:35:08.23 ID:GbpiUnP0P

小鳥「変な社長。……それで、いいんですか? 結局」

高木「……わ、わかった。考えておこう」

小鳥「よかった! やっぱり一度は家族で囲んでみたいし」

高木「……そうだな」

小鳥「……お父さん」

高木「なんだ?」

小鳥「えへへ、呼んだだけですよ!」

高木「……全く」

小鳥「それじゃ、今日も事務員としてバリバリ頑張っていきますよー!」


「人間として、ね」

「新たな一歩の始まり、って感じでいいじゃないですか! よーし!」

「音無小鳥、ファイトー!!」



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/28(日) 03:47:15.87 ID:GbpiUnP0P

ここまで読んでくれた人&支援サンクス
何がしたいのってとりあえず小鳥ロイドでガッツリ書きたかっただけなの
長い間お付き合いいただきありがとう


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