スポンサーサイト 

カテゴリ:スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「おい待て、そこのお前……私が見えるのか」 

カテゴリ:未分類

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:09:11.96 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

「お前、人の子だな。どうして見える」 

男「チッ……」 

「あ、おい!待て人の子!!」 

男「ついてくるな。殺すぞ」 

「ふんっ、人が私に向かって殺すぞ、だと?やってみろ」 

男「……いいのか?」 

「ふんっ、お前ごときの力では……あ…」 

男「……いいんだな?」 

「ちょっと待て人の子よ……どうして…そんな力が」 

男「……失せろ」 

「あ、おい!」 

男「……」

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:11:50.81 ID:J1F7aOQs0
「おい人の子よ」 

男「……」 

「私の姿が見えているだろう!反応しろ」 

男「……」 

「おい!」 

男「喚くな……どうして俺に構う」 

「少し…話を聞いてほしいのだ。人の子よ」 

男「話だと?」 

「そうだ」 

男「……」 

「お願いだ……話を聞いてくれ」 

男「……ここじゃ駄目だ……家にこい」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:16:19.63 ID:J1F7aOQs0
「ここがお前の家か、人の子よ」 

男「……」 

「誰もいないじゃぁないか。家族はいないのか?」 

男「いないな」 

「……そうか」 

男「それで、なんだ?」 

「実はだな……探してほしい人がいるのだ」 

男「帰ってくれ」 

「な!?おい!まだ話は始めたばかりだぞ?」 

男「人に妖が人探しを頼むか……滑稽だな」 

「……お願いだ」 

男「駄目だな、他を当たれ」 

「どうしても駄目なのか?人の子よ」 

男「ああ、俺は人間が嫌いなんでね」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:23:03.39 ID:J1F7aOQs0
「人間が嫌い?……お前は人間だろう」 

男「俺が人間を嫌いじゃおかしいか?」 

「おかしいな。お前は人間じゃないか」 

男「人間ってのはな……醜いんだ」 

「醜い…か」 

男「そうだ……自分の欲望に沿って生き、自分に刃向うものは淘汰、中傷、罵倒を繰り返す。 
そしてその裏で自分の好きなもの達とだけ、幸せを共有し笑い合う……醜い」 

「お前は……人間が憎いのか。人間のくせに」 

男「ああ……憎いな」 

「……」 

男「これは、お前たちのせいでもある」 

「……どういう事だ?」 

男「……俺は、ガキの頃から。何故だか知らんがお前達…妖が見える」 

「……」 

男「そのせいで………!……口が滑った」 

「私が…憎いか?」



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:27:26.53 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

「妖が憎いか。人の子よ」 

男「ああ……憎いね。人間も、妖も……皆、憎い」 

「……そうか」 

男「だから俺には関わるな……どこかへ去れ」 

「悪いが、そうは行かない」 

男「? 何故だ」 

「私も人間は嫌いだ」 

男「……それが?」 

「昔は…好きだったのだ……とても……感謝もされていた」 

男「何を言っているんだ?お前は」 

「私は……恩人を殺されたのだ。人間に」 

男「……殺された?」



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:38:49.34 ID:J1F7aOQs0
「私は……昔、この辺りの土地を他の妖怪から守っていてやっていたのだ」 

男「…何故?」 

「言っただろう。私は人間が好きだったと……人間の営みを見ているのは飽きが来なかったのだ。 
……だから守ってやる事にした……人間を好物とする妖怪共から」 

男「ふん…気まぐれか……」 

「……そうだ。気まぐれだった……そして、人間共を守ってやって…暫くして、あのお方がきた」 

男「仲間……」 

「ああ、その頃になると。私の守っている土地以外の人間は数が減ってしまっていてな。 
大勢の妖が大挙してやってきていたのだ……1人では守り切れないほど」 

――――――― 

「くっ……くそ……こうも多くの妖が……このままでは」 

[困っているな……どうした?] 

「え?……おい!……お前も人間を……そうはさせるか!!」 

[勘違いをするな……助けに来てやったのだよ] 

「な?」 

[最近妙な噂を聞いてね…ある土地で、妖怪共から必死に人間を守っている妙な奴がいると……くくくっ]



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:44:57.92 ID:J1F7aOQs0
男「……そいつがお前の恩人か」 

「そうだ……彼は…私と一緒に人間を妖怪から守った後…私にこう聞いた」 

――――― 

[お前は妖怪だろう。どうして人間等を守る……あいつらに何の思い入れがあるのだ] 

「思い入れなどはない」 

[では何故だ?お前と同類である妖怪を蹴散らしてまで。どうしてそこまでする] 

「……人間を見ていると…ヒマつぶしになるからだ」 

[なに?] 

「人間を見ていると面白い……だからだ」 

[………ふ、ふふっ……ははははっ] 

「何を笑う事があるか!お前!!」 

[いやいや、すまない……お前みたいな事を言う奴は…初めて見たのでな…そうか、暇つぶしか……] 

「……」 

[よろしい……私もお前の暇つぶしに付き合おうではないか。混ぜておくれ]



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 03:56:01.47 ID:J1F7aOQs0
「それから私と彼……いや、あのお方は長く、長く……人間を観察し続けた」 

男「……」 

「あのお方も私の暇つぶしを……楽しんでくれていたよ。 とても……とても楽しそうに目を細めて…」 

男「…」 

「しかし、ある時。あのお方がその力を人間に使った……そのせいで」 

男「力……」 

「人々の暮らしが豊かになる力を、あのお方は持っていた……私よりもずっと、位の高い……壬生のお方だったのだ」 

男「壬生…か……妖怪にも、壬生一族のものがいるのか」 

「そうだ……あのお方は私を楽しませてくれ様と……人間に力を使った……しかし」 

男「…」 

「人間はこともあろうにあのお方の存在に気づいた途端、陽術士を沢山使い、私とあのお方を封印しようとした 

閉じ込めようとしたのだ」 

男「……」 

「あのお方は……抵抗をしなかった。ただ、私を逃す為に少しの……少しの力を使って……そして私に」 

――――――



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:02:13.65 ID:J1F7aOQs0
「壬生様!壬生様!!」 

[私は壬生様などという高貴なものではないのだよ。もう、違うのだ。しかし…それでいい] 

「壬生様!一緒に逃げましょう!それか、壬生様だけでも!!私が逃がします! 
おのれ……人間共め……ゆるさん……ゆるさんぞ!」 

ソッ 

「!……壬生様…」 

[その様なものではないと言ったでしょう……逃げなさい。本当はこういう力は人間には使ってはならないのだが…… 

……あなたを逃がせるならば……後悔はないよ] 

「壬生様!壬生様!!」 

[行きなさい……生きなさい……あなたは、人間を恨んではいけないよ。いいね 

……あなたと過ごした日々……楽しかった……ありがとう……おゆきなさい…] 

「壬生様!!い、いや……壬生様!!壬生様ああああ!!!!」 

―――――――― 

男「………」 

「そうして…あのお方は封印され……その中で……自らの命を……絶たれたのだ…」



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:10:57.86 ID:J1F7aOQs0
「………」 

男「…それで?」 

「……私は、あのお方を封印し、殺した人間共を恨んだ……それはもう恨んだ……人間を妖怪から守るのもやめた 
……何度も人間を襲おうとさえ思った……けれど、できなかった」 

男「……」 

「何年も……何十年も恨んだ……うらんでうらんでうらんでうらんで……恨み…つかれた……」 

男「……」 

「もう、私は人間を恨んではいないよ。嫌いではあるが、恨んではいない」 

男「……言っただろ。人間は醜いと…欲望に忠実だ」 

「それは妖も同じ事だ……」 

男「……それで?……暇つぶしだ…何か頼みがあるのか?」 

「……」 

男「………なんだ?」 

「ある人間を……探してほしい……探してほしいんだ……人の子よ」



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:21:30.98 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

「まぁ、探してほしいと言っても…相手のいるであろう場所は、分かっているんだ」 

男「じゃあ、自分で行けばいいだろう」 

「今の私は……もう、人に化ける事も出来ないのだよ。人の子よ」 

男「……どこだ?」 

「壬生様が眠っている…ご神木のある…神社だ」 

男「……仇を討ちたいのか」 

「違うのだ。人の子よ……私はもう、人を憎んでなど、いないのだよ」 

男「じゃあ…何をしに行けと?この俺に」 

「お前の言った事と逆の事を…したいのだよ」 

男(……笑った) 

「……私は、壬生様が封印され、亡くなってから……人への恨みがなくなるまでは、この土地へは近付かなかった 

……だが、恨みがなくなった時……ふと…壬生様のお墓参りに行きたくなったのだ……もう一度…あの方に……会いに行きたくなったのだ……」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:28:52.23 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

「……そして、私は……あの人間に出会った」 

――――――― 

「ここか……」 

「……………壬生様……」 

『どちら様ですか?』 

「え?」 

『あの、参拝の方ですか?いやぁ、珍しいなぁ…ご神木の参拝客なんて最近はいませんからねぇ』 

(誰だこの若い人の子は……私の姿が見えるのか?……) 

『どうしたんですか?』 

「お、お前は……?」 

『ああ……僕はこの神社の神主をしているものです。今日はまだご神木の周りの掃除をしていなかったので。あははっ』 

「神主?……じゃあ……お前がっ!!」 

『え?ど、どうしたんですか!?だ、大丈夫ですか!?……どこか痛い所は?』 

「な!!……あ……」



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:43:17.70 ID:J1F7aOQs0
男「……神主……お前の仇じゃないか」 

「そうだ…そう思った……あの人間が神主と名乗った瞬間。人間への恨みをなくした私が、一瞬 
……その人間を殺そうとしてしまった」 

男「殺したのか」 

「…………いいや。躊躇している間にな……あの人間……神主は…私の体調が悪いのだと思い、部屋へ入れた。 
…自分だけに見えている……人の形をした妖だと……気付きもせずにな」 

――――――― 

『ここに転んでいて下さい。きっと今は暑いから……そうだな!あれがいい!ちょっと待っていて』 

「あ、おい!……」 

『よいしょ!よいしょ!!……あははっ、はいこれ』 

「……西瓜?」 

『ええ。お嫌いですか?』 

「……いや」 

『そうですか!ではっ、召上がって下さい!裏の畑で私が育てたのですよ、味は保証します』 

「………」



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:46:57.83 ID:J1F7aOQs0
『どうです?おいしいでしょう?』 

「……ああ、そうだな」 

『……もう、お身体は大丈夫ですか?』 

「…大丈夫だ」 

『それはよかった!』 

「……おま…あなたは……神主なのか?」 

『そうですね。34代目になります…こう見えても、結構古いお寺なのですよ』 

「知っている」 

『え?』  

「……いや」 

『……あなたは、この土地の方ではありませんね?お初にお目にかかるお方だ』 

「そうだ……」 

『……ここへは…観光ですか?』 

「……ああ」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 04:53:59.97 ID:J1F7aOQs0
『そうですか……あなた…この神社の事を……よくご存じなので?』 

「……」 

『?』 

「ああ……知っているよ……あのご神木には…封印されているものがある」 

『封印……そうですね……まぁ、そういう事になるかもしれません』 

「っ!!」 

グッ 

『うわっ!な、なん……です?』 

「……」 パッ 

「いや……すまない」 

『けほっ……あなたが、この神社に関して…どの様な資料をご覧になったのかは…知りませんが 

……あまり、いい印象はないのかも…しれませんね』 

「……」 

『少し……お話をしてもいいでしょうか?』 

「え?」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:08:16.35 ID:J1F7aOQs0
『ええ……あ、お時間は大丈夫ですか?』 

「……大丈夫だ。話してくれ」 

『では……この土地は…古くから、とても裕福な土地だったそうです。作物は豊かに育ち、飢饉に見まわれる事など 
まったくと言っていい…奇跡の土地だったと、古文書には記されています』 

「……そうか」 

『そして、その恩恵をもっと受ける為、神を奉る為に。この神社は誕生しました』 

「……」 

『暫くして、この裏山で……村人が、ある人間の姿をした何か……と記録にあるので何の事かは分かりませんが 
……そういうものに出会ったという話がありました。……その話をうけ、当時は様々な人たちがこの裏山を歩いたそうですよ』 

「……」 

『そして……そういう人間の姿をした何か……を、村人総出で、陽師達を雇い、封印しようと動いた……』 

「……………」 

『その時、この神社の神主……私の祖先は…猛反対したそうです』 

「え?」 

『………もしも、その何かを……捕えて封印したのであれば…どんな災いが降りかかるかわからないと 

必死に村人を説得して回ったそうです……結局は強行されてしまったらしいですが……』



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:16:27.68 ID:J1F7aOQs0
「……」 

『そして……それからというもの、しばらくこの土地は、荒れに荒れた……作物は満足に実らなくなり、飢饉によって 
沢山の人たちが死んだと言う事です』 

「…………」 

『……神主は、心底後悔したそうです……やはりそうか。あれは……あれはこの土地を見守ってくれていた神様だったのだと 

神様を封印してしまったから……バチが当たったのだと……村の人々も皆、そう感じていたと言います』 

「……」 

『そして……何か……神様でしょう……神様を封印した場所に…ご神木を植え、何年も何十年も大事に奉ったそうです 

私の祖先……神主が何代にも渡り……ごめんなさいと……神様に、ごめんなさいと……言い続けたのです』 

「………………」 

『それから何十年も時が過ぎ……今はもう、毎年お祭をしてあのご神木を拝むという風習が出来た』 

「……」 

『ただ、この風習は、この土地以外の人達にはあまり知られていません』 

「え?」 

『だから、この神社に関する資料は……評判が悪いものが多いのです。まぁ……酷い土地になっていた時期が
長かったから……ははっ、だから今の話は……こうして、あなたみたいに。観光に来て頂いた方にお聞かせすると……とても驚かれます』



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:20:51.36 ID:J1F7aOQs0
「………」 

『ははっ……西瓜。まだ食べます?』 

「……あなたは……」 

『え?』 

「あ……いや………」 

『……ははっ、何故かは分かりませんが、あなたはあのご神木に相当な思い入れがおありの様だ』 

「え?」 

『ご神木を眺めているあなたの横顔は……それはそれは美しいものだったのですよ。 

つい声をおかけしてしまうほどにね……ははっ』 

「………」 

『私は……祖先の神主達がやってきた事を同じ事を……毎日やっています。 

ご神木のまわりを掃除し、聖水をかけて、祈るのです……それが、私の仕事です』 

「………あなたは……ご神木……が……壬生様が……」 

『!?……………壬生様……それは……』



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:23:44.94 ID:J1F7aOQs0
「!!……い、いや……なんでも…ない……」 

『……そうですか……ふふふっ』 

「………」 

『……私は……あのご神木が……大好きです』 

「……」 

『いつもいつも……私達を見守ってくれていますから』 

「………そうですか……」 

『ええ……』 

「…………」 

「……………神主さん」 

『はい。なんでしょう……』 

「………ご神木に封印された…何かは……あなたを……見守っていると思います」 

『…ふふっ………はい』 

―――――――― 

男「…………」



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:28:22.45 ID:J1F7aOQs0
「私は……あの人間に…………礼を言いたいのだ」 

男「……」 

「壬生様を大事に奉ってくれた……壬生様の事を大事に想っていてくれた人間がいた事に…感謝したいのだ」 

男「…………」 

「お前は……人間も妖怪も嫌いだと、憎んでいると言ったな」 

男「ああ……言った」 

「……」 

男「………その神社というのは……ここから歩いて10分程の…あそこか?」 

「……そうだ」 

男「………行くぞ」 

「人の子よ……行ってくれるのか?」 

男「……行くぞ」 

「……ああ、行こう」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:33:31.96 ID:J1F7aOQs0
男「ここか?」 

「そうだ……あれが……」 

男「……でかい樹だな」 

「そうだ……あの時よりも、更に成長している様に思う……」 

男「じゃあ…神主を探して……礼を言えばいいんだな?」 

「ああ……頼む……あ!あそこに誰か…」 

男「……あれか?」 

ザッザッザッ 

「……え?」 

男「すみません……この神社の神主様ですか?」 

神主「ええ、そうです。ご参拝に参ったのですか?」 

男「そうですね……そんな所です」 

「……違う……この人間ではない……似ているが…違う」 

男「え?」 

神主「どうしました?」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:40:04.19 ID:J1F7aOQs0
男「……いえ」 

「……おい」 

男「……」 

「……ああ…そうか……そうだったのか……」 

男「……」 

神主「何か質問でも?」 

男「……この神社は古いですね。とても」 

神主「ええ、この土地が昔奇跡の土地と呼ばれていた頃から立っていたそうですからね 

神主も私で37代目になります」 

男「37代目……ですか」 

神主「ええ、父も、祖父も、曾祖父も……みんな神主でした」 

男「……34代目…の神主さんは……いらっしゃいますか?少しその方に言いたい事があって…」 

神主「34代目……曾祖父ですか……すみません、残念ながら15年前に他界していまして……」 

男「……………そうですか」



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:45:33.61 ID:J1F7aOQs0
「……ああ……」 

男「……一応、伝えるぞ」 

「……」 

神主「え?」 

男「……私は、…私の知り合いが、34代目の神主様に大変感謝したい事があったそうで 
……それを本人に伝える為に来たのですが……」 

神主「曾祖父に感謝……ですか?」 

男「ええ……ご神木の事について…の……真実を教えてもらったと……その事を感謝したいと」 

神主「ご神木……!!!……ま、まさか……あなた」 

男「え?」 

神主「……ご神木についての…真実を曾祖父が話した相手……それは、彼の息子である祖父と、 
もう1人だけだったそうです」 

男「え?」 

神主「普通は、そんな事を聞く人はまずいないし…聞いて来たとしても……神社の存在意義でもある事なので 
そんなに公に話したりする事はないのですよ」 

男「……」



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:49:59.73 ID:J1F7aOQs0
神主「そうですか……そうですか……あなたのお知り合い……が」 

男「……」 

神主「もし……本当に失礼な質問かもしれませんが……」 

男「…なんでしょう?」 

神主「あなたは……妖の類が……見える方なのではないですか?」 

男「!」 

神主「変な事を言っているのは十分承知です……しかし……し、しかし…ですね」 

男「……そうです」 

神主「!!……や、やはり…じゃああなたのお知り合いというのは……」 

男「……言えません」 

神主「……いえ、いいんです……そうですか……曾祖父に感謝…ですか……」 

男「はい、とても感謝していると。伝えてほしいと……」 

神主「それを聞いて、曾祖父も天国で本当に嬉しく思っている事でしょう……では、それを聞いたからには 

……こちらからも伝えなければなりませんね」 

男「え?」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 05:58:57.22 ID:J1F7aOQs0
神主「曾祖父は……祖父に真実を継承していく際、こんな事を言ったそうです」 

男「?」 

「……」 

神主「私はその昔…夏の暑い日に……ご神木の前で奉られている神様の真の名を呟いた女性を見た。 

きっとあの女性は私たちを見守りに来てくれたに違いないと言い……西瓜をご馳走した。 

そして……この神社の真実を伝えたのだ……彼女は言った。 

【ご神木に封印された何かは私たちを見守っていると思う】と………私は確信した。 

この女性は……間違いなく八百万の神様の一人だと……封印されてしまった神様を 

見にきて、私の話を聞きに来たのだと……そして……見守っていると思うと仰って下さったと。 

許して下さったのだ、私達が行った愚かな過去の過ちを許して下さったのだ。 

あの方には感謝をしなければならない……もし、もしもお前たちがこれから先、その様な女性の話を 

聞いたら……感謝の心を持って接し、西瓜をもてなすべきだ。分かったな…………と」 


男「………」 

「……………………」



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 06:03:14.48 ID:J1F7aOQs0
神主「曾祖父は……自分がその女の方に本当に会ったと言っていましたが……本当だったとは……」 

男「……そうですか……」 

神主「曾祖父は……本当に……本当に感謝をしていたのですよ。そう聞いています」 

男「……」 

神主「そう……お知り合いの方にお伝え下さい…曾祖父は勿論……この神社の代々の神主は皆 

過去の過ちを悔い、ご神木……そして……あなたに……感謝していると」 

「……………」 

男「……分かりました。必ず伝えます」 

神主「そうですか……ふふふっ」 

「……墓の場所を聞いてくれ……墓の場所を……」 

男「……曾祖父の……お墓の場所を教えて頂けませんか?」 

神主「!……はい、勿論……ここからまっすぐ先へ行って…」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 06:07:44.35 ID:J1F7aOQs0
「………」 

男「ここだな……」 

「………」 

男「………お前の頼みはこれで果たしたぞ」 

「……ああ」 

男「……残念だったな」 

「……なに、人の生涯は……短い……分かっていた……事さ」 

男「……あの人の曾祖父は……分かっていたみたいだな、お前に会った時から」 

「そうだな……ふふっ……言ってくれればいいものを」 

男「……」 

「ふふっ……ああ……そうだったのか……あなたは……あの時……私に感謝をしていてくれたのか……」 

男「…………」 

「そうだったのか……」



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 06:11:04.61 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

「人の子よ…」 

男「……なんだ」 

「……人とは……儚いな」 

男「……どうでもいい。俺は人が嫌いなんでな」 

「……」 

男「……ただ………お前の会った曾祖父というのは…まぁ、いい人だったんだろうよ」 

「ふふっ……」 

男「……」 

「もう一度…話がしてみたかたのだが……しょうがないな」 

男「……どこかへ行くのか?」 

「ああ……」 

男「そうか」 

「人の子よ……」



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 06:14:55.69 ID:J1F7aOQs0
男「……なんだ?」 

「私は、お前が好きだよ」 

男「え?」 

「……お前は、優しい……とてもな」 

男「気味が悪い奴だ……お前は」 

「そうか……まぁ、それもいいさ」 

男「お前も妖なんだから、俺には近付くなと他の妖に言っておけ。分かったな」 

「ああ……分かった」 

男「それぐらいの見返りがないとな」 

「……人の子よ。ありがとう……本当にありがとう」 

男「キモち悪いんだよ。さっさとどこかへ行け」 

「………」 

男「笑うな」 

「………ではな」



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 07:54:03.62 ID:J1F7aOQs0
「やぁ」 

男「……」 

「あれ?お前……私が見えないのか?」 

男「……」 

「やぁ」 

男「……なんだお前は。人の家のベランダにいきなり」 

「おお!やっぱり見えるのか!人のくせに」 

男「……」 

「私は凛というものだ!お前、名前は?」 

男「失せろ」 

「な!?」 

男「失せろ」 

「な、なぜ突然そんな事を言うんだ?自己紹介をしたんだぞ!ならばお前も返すべきだろう? 

無礼な人間め……最近の奴はみんなそうなのか?」



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 07:57:32.37 ID:J1F7aOQs0
男「……男」 

凛「え?」 

男「男だ……もういいだろ。失せろ…妖が」 

凛「そ、そんな目で見なくてもいいだろ?」 

男「……」 

凛「いいだろうに…男よ」 

男「……何か用か」 

凛「用は……ないけど…」 

男「失せろ」 

凛「え、えっと…えっと……料理!料理を教えてくれ!」 

男「?……料理?」 

凛「そ、そうそう!料理だ!人間の料理を教えてくれ!!」 

男「………何故だ」 

凛「え?」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:01:15.74 ID:J1F7aOQs0
男「お前は妖怪だろう、何故料理などしたいと思う」 

凛「そ、それは……その……い、いいじゃないか!別に!」 

男「……」 

凛「……ど、どうしても駄目か?」 

男「……俺はお前ら妖が嫌いなんだよ、人間はもっと嫌いだが」 

凛「……」 

男「……卵焼きを作ってやる。そしたらもうどこかへ行って、二度とここへは来るな」 

凛「……」 

男「いいか?」 

凛「……卵焼きって?」 

男「……」 ハァ 

男「……入れ」 

凛「!わ、わかった!」



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:05:52.62 ID:J1F7aOQs0
男「……卵焼きは卵焼きだ」 

カチャ ボッ 

凛「うわぁ!な……ひ、火が出たぞ男!」 

男「……フライパンを置く」 

凛「わぁぁ」 

男「卵を落とす」 ジュワー 

凛「おおー」 

男「こうやってひっくり返してもう一回卵を落とす」 

凛「……」 

男「繰り返しだ」 

凛「………す、すごいなぁ男は!こんな事ができるのか!」 

男「……やってみろ」 

凛「わ、私がか!?」 

男「教わりに来たんだろう?やれ」 

凛「わ、分かった!がんばるぞ!」



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:07:57.91 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

凛「あ……ああー」 

男「……」 

凛「も、もう一回いいか?」 

男「……ああ」 

凛「よ、よーし!次こそは!!えい!」 

男「……」 

凛「ああー」 

男「……」 

凛「よ、よし…もういっか…」 

男「やめろ」 

凛「え?」 

男「何個卵を使う気だ。もったいない」 

凛「あ……ぅ…」



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:10:41.25 ID:J1F7aOQs0
男「……終わりだ」 

凛「…」 

男「失せろ」 

凛「あ、明日も!来るからな!!男」 

男「……来るな」 

凛「く、来るからな!」 

男「……」 

凛「じゃ、じゃあな!男!」 

男「……」 



凛「や、やった……話せた……話せちゃった……」



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:16:50.71 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

凛「ま、また来たぞ!男!」 

男「……もう来るなと言っただろ」 

凛「そ、そんな事言ってたっけなぁ?」 

男「チッ…」 

凛「そ、そんなに怒るなよぉ……ほ、ほらっ!今日は卵と野菜を持って来たんだ!」 

男「…」 

凛「な?」 

男「……なんで俺に付きまとう。迷惑だ」 

凛「ぅ……」 

男「……失せろ」 

凛「…きょ、今日の料理がうまく出来なければ。もう来ない!」 

男「……」 

凛「や、約束する……だから……」 

男「……分かった」



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:29:02.04 ID:J1F7aOQs0
凛「た、卵と野菜を炒める料理にしよう!」 

男「…」 

凛「や、やり方を調べてきたんだ!だから、あってるかどうかを…確認してくれ!」 

男「……」 

凛「じゃ、じゃあやってみるから…見ててくれ」 



凛「で、出来たぞ!自信はある!」 

男「……」 

凛「食べてみてくれ!男!」 

男「……味がない」 

凛「え?そ、そんな事は…」 

男「……調味料って知ってるか?」 

凛「え?」 

男「……くってみろ」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:35:37.56 ID:J1F7aOQs0
凛「……」 

男「味はあるか?」 

凛「や、野菜の味があるじゃないか!」 

男「…まぁ、お前がそれでいいんなら。それで成功だな」 

凛「え?」 

男「約束は守ってもらう」 

凛「い、いや……や、やっぱり失敗だ!うん!これは、味が薄い!」 

男「…」 

凛「……だ、だから………明日も……来ていい…か?」 

男「……」 

凛「あ、明日も来るからな!じゃ、じゃあ!」 


男「……なんなんだ」



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:40:54.80 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

凛「お、男!!来たぞ!!」 

男「……」 

凛「きょ、今日は卵と魚を持って来たんだ!」 

男「……おい」 

凛「え?なんだ?男」 

男「何がしたい?」 

凛「え…」 

男「料理を教えてもらいたいというのは……嘘だろう」 

凛「……」 

男「嘘なんだろう?」 

凛「……」 

男「俺に何をしてほしい……言え。そしてそれを叶えたら、二度とここへは来るな」 

凛「……き、聞いたんだ……男の事」 

男「?」



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:48:10.95 ID:J1F7aOQs0
男「……誰から」 

凛「い、言えない……言うなと口止めされているんだ……でも、とても凄いお方だ!」 

男「誰だ」 

凛「い、言えないんだ……ただ……あのお方は男の事を……とても優しい人だと……そう言っていたんだ!」 

男「俺が優しい?……誰だ…そんな事を言うやt………」 

凛「え?ど、どうした?男」 

男「…昔いたな……そういう奴が…思い出した」 

凛「そ、その人だ!多分!!うん……だから……だから……私は…」 

男「あいつは……」 

凛「え?」 

男「あいつは…今どこにいる。文句を言いたい。まさか色んな所でそんな胸糞悪い事を言い回ってるんじゃないだろうな?」 

凛「あ、あのお方は……今…どこにいるのか……分からないよ。私は……」 

男「……いいか、教えてやる」 

凛「え?」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 08:55:57.63 ID:J1F7aOQs0
男「俺は、お前みたいにいきなり押しかけてきたそいつの頼みを、勝手に相談された揚げ句。 
半ば無理矢理に、それの解決に付き合わされたんだ」 

凛「そ、それは……でも!結局男はあのお方の悩みを解決してあげたという事でしょ?」 

男「……とにかく、俺はそんなにお人好しじゃない。もうあんな事はない……」 

凛「……」 

男「俺は、人間も妖怪も憎んでいる。嫌いなんだ、みんな」 

凛「……わ、私も?」 

男「……」 

凛「……」 

男「……そうだ」 

凛「…」 

男「ほらっ、お前は俺が嫌いになっただろう?それでいいよ……どこかへ行ってくれ…」 

凛「……と、友達に!」 

男「え?」 

凛「友達に……なってほしいんだ!!」 

男「……おい、話聞いてたか?」



73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 09:03:27.34 ID:J1F7aOQs0
凛「わ、私は……あのお方の言葉を信じる!」 

男「……」 

凛「お、男は優しいんだ……絶対そうだ」 

男「…」 

凛「だから…友達に……なってほしい…」 

男「……」 

凛「お、お願いだ……私は……誰も、友達がいないんだ……本当に…誰も……」 

男「……」 

凛「……と、友達が欲しいんだ……寂しいんだ……私は……」 

男「…」 

凛「私と……話をしてほしい…それだけなんだ……それだけでいいんだよ。男……お願いだ」 

男「……チッ……あいつ…」 

凛「え?」 

男「……お前、女だろ………男言葉で喋るな。まずそれからだ」



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 09:11:48.30 ID:J1F7aOQs0
凛「と、友達になってくれるのか!?」 

男「……違う」 

凛「え?」 

男「俺はお前とは友達にはならない、一生だ」 

凛「……どういう?」 

男「話し相手になってやる…それでいいか」 

凛「そ、それでいい!一杯色んな事を話そう!! ははっ」 

男「その喋り方を直したらな」 

凛「う…そ、そんな事を言われても……」 

男「直せ」 

凛「わ、わかった…」 

男「じゃあ……俺とお前は今日から話し相手だ、これでいいか」 

凛「!うん!男!ありがとう!!」 

男「……」 ハァ



78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 09:25:58.31 ID:J1F7aOQs0
凛「男ー!また来たぞー!!…じゃなかった…また来たよー!!」 

男「うるさい」 

凛「なんでよ、お話していいって言ったのは男でしょ?」 

男「あれから10日連続だ……もう大体の事は話しただろ」 

凛「まだまだだって!ねぇねぇ、今日は外へ行かない?」 

男「え?」 

凛「行こうよ!男が言っていたそう!映画を見に行こう?」 

男「……お前、他の人間には見えないんだろ?」 

凛「そうだよ?」 

男「じゃあ外では話せなくなるけど、いいのか?」 

凛「え?どうして?」 

男「周りから見れば俺がお前と話すと独り言を喋ってる変な奴だろう、考えろ」 

凛「そ、そっか……それはいやだなぁ」 

男「……」 

凛「じゃ、じゃあ家で……えっと……こ、これ!でぃーぶいでぃー…だっけ?これを見ようよ!ね、男!」



91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 10:16:38.08 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

凛「……とても悲しい話だね。男」 

男「……ふん」 

凛「どうしたの?」 

男「こんな映画位で泣くな」 

凛「……ごめん」 

男「……ほらっ」 

凛「…ふふふっ……」 

男「気持ち悪いんだよ」 

凛「ふふっ……私は、気持ち悪いかな?」 

男「ああ」 

凛「ごめんなさい」 

男「……ああ」 

凛「ふふっ」



92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 10:20:49.26 ID:J1F7aOQs0
凛「男!また来たぞー!」 

男「…お前は毎日元気だな」 

凛「見て見て!この服!!」 

男「……どうしたんだ」 

凛「ふふっ……白の装束だ!綺麗だろう?」 

男「……」 

凛「絹の服なんだ!私の宝物なんだ」 

男「……」 

凛「…男?」 

男「触ってもいいか」 

凛「え?」 

男「いいか?」 

凛「い、いいに決まってるじゃないか!ほ、ほらっ」 

男「……」ソッ 

凛「……ど、どう?」



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 10:26:26.44 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

凛「男?……な、なんか照れるぞ?ふふふっ」 

男(なんだ?…この感覚……前に…) 

凛「どうしたの?男」 

男「……お前…前に…」 

凛「え?」 

男「……いや…いい」 

凛「男?」 

男「今日は何を話すんだ?」 

凛「え?」 

男「決まってないのか?」 

凛「えっと…て、てれびを見ないか?に、人間の面白い姿を見ながら話そう?い、いいd…いいでしょ?」 

男「ニュースしか見ないんだがな、俺」



94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 10:40:18.58 ID:J1F7aOQs0
凛「男ー!今日も来たぞー!!」 

男「ふん……今日で1ヶ月だぞ……毎日毎日…飽きないな……ぅ…」 

凛「え?お、男!?どうしたの!?」 

男「げほっ……ちょっと風邪をひいただけだ」 

凛「か、風邪?」 

男「ああ……少し寝ていれば…治る……げほっ、げほっ」 

凛「……よ、よし!」 

男「え? うわっ!」 

フワッ 

男「な……」 

凛「こ、こうして……私がお前をあたためれば……大丈夫だ!すぐに治るさ、男!」 

男「普通は……冷やすんだよ、こういう時は」 

凛「え?そ、そうなのか……じゃ、じゃあ」 

男「冷凍庫……から……氷枕があるからそれを…」 

凛「こ、これ?」



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 10:52:27.55 ID:J1F7aOQs0
男「ああ……それを貸してくれ」 

凛「つ、冷たいなこれは……ほらっ」 

男「げほっ、げほっ……うぁ……ああ、ありがとう……!?」 

凛「え?……男!今なんて?」 

男「……(俺は…今……)」 

凛「男!も、もう一回言ってくれない?」 

男「……何をだ?」 

凛「え?えっと……今言ってくれたじゃない……その…」 

男「忘れた……とにかく、今日の話相手には…げほっ、ごほっ……なれそうに……ない」 

凛「……いいんだ。そんな事は……男が元気になってくれさえすれば……それでいいよ」 

男「……」 

凛「だから……私が見ているから……ゆっくりお休み……男……」 

男「……」 

凛「早く……元気になって……」



100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 11:10:52.95 ID:J1F7aOQs0
男「……」 パチッ 

凛「あ」 

男「……寝てたのか、俺は」 

凛「そうだよ…男。もう熱は引いた?」 

男「……まだ多少熱っぽいが……もう咳は出ないみたいだ」 

凛「そう…よかった」 

男「…」 

凛「よかった……」 

男「もう、夜か」 

凛「そうね…夜……」 

男「……お前は、ずっと俺を看ていたのか」 

凛「え?うん……当然でしょう?私は男の…」 

男「……」 

凛「……は、話相手なんだから……ふふっ……」



103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 11:19:47.09 ID:J1F7aOQs0
男「………」 

男(今日は……遅いな) 

男「………」 

男(せっかく昨日話さなかった分…話してやろうかと思ってやったのに) 

男「……」 

男(今日は…来ないのか?) 

男「……」 

男(チッ……どうでもいいじゃないか、あんな妖の事など…) 

男「ただ……」 

男「……いや……俺は何を……」 

男「………」 



男(来ないのか……今日は…)



105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 11:31:09.93 ID:J1F7aOQs0
凛「男ー!来たよー!」 

男「……」 

凛「今日は……ほらっ!風邪に効く薬草を探して来たんだ!これをすりつぶして飲めば…」 

男「昨日はどうした?」 

凛「え?」 

男「昨日…来なかっただろう」 

凛「うん……この薬草を探してたの!ふふっ」 

男「……そうか」 

凛「男?」 

男「……何でもない」 

凛「どうしたんだよぉ、男ー?」 

男「何でもないって言ってるだろ!」 

凛「え?」 

男「あ……いや……まだ…頭が痛くて……少しイライラしてる……それだけだ」 

凛「……じゃ、じゃあ!この薬草を!!待ってて!」



106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 11:37:55.45 ID:J1F7aOQs0
男「…」 

凛「男は寝てていいよ。すぐに作るから」 

男「……うまくなったな」 

凛「え?」 

男「ミキサーとか…使える様になってたんだな」 

凛「え?ああ……うん。男のおかげ!ふふっ」 

男「そうか」 

凛「うん……できたよ!さぁ飲んで飲んで!」 

男「ぅ……飲むのか…これ」 

凛「うん、飲んだらきっと頭が痛いのも治るよ!」 

男「……」 

凛「……」 

男「……すごい味だ」 

凛「おいしい?」 

男「お前は馬鹿だろ」



107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 11:53:23.40 ID:J1F7aOQs0
[いやだあの子……何?気持ちが悪い] 
[お前はいつもいつも下らない嘘をついて周りを脅かせて……そんなに人が嫌いかこのクソガキ!!] 
[おいおい、あいつキモい事しかいわねェぞ?] 
[頭がヤバいんだろ、ほっとけって] 
[おいお前!化け物が見えるんだって?証明して見ろよカス] 
[気持ち悪いんだよ!キチガイが] 
[え?……男……お前何言ってんの?……うっわぁ……そんな奴だったの?お前って……] 
[もう俺に話しかけんなよ、変な病気でも持ってるんじゃね?お前] 
[移すなよぉ、はは] 
[どっかいけよ……死ねよ] 
[死ねよ] 
[いなくなればいいのに…] 
[死ねばいいのに] 
[死ねばいいのに] 
[死ねばいいのに] 
[死ねばいいのに] 

男「うわあああああああああ!」 ガバッ 

凛「!!?」 

男「はぁ…はぁ……はぁはぁ………」 

凛「ど、どうしたの男?……や、薬草を飲んだあとすぐに、寝てしまったから、ビックリしたんだけど……男」 

男「はぁ……はぁ……」 

凛「……男……」 

男「………」



110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:02:22.39 ID:J1F7aOQs0
男「……悪い夢を見ただけだ」 

凛「……」 

男「気にするな…最近は少なかったが…昔は毎日見ていた夢だ」 

凛「……」 

男「……お前…もしかして視たのか?」 

凛「………」 

男「わかっただろう……俺が人間が嫌いなわけが」 

凛「男…」 

男「……なんだ」 

凛「今日は…ここで泊まってもいい?」 

男「え?」 

凛「お願い……何もしないから……一緒にいるだけ…お願い」 

男「……」 

凛「お願い…」



111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:10:27.96 ID:J1F7aOQs0
男「……妖も寝たりするのか」 

凛「うん」 

男「その服は…」 

凛「絹の白装束…綺麗な綺麗な……私の大好きな服」 

男「……俺は…その…服……どこかで…」 

凛「……」 

男「どこか……で……」 


――――――――――――― 

[あの子は誰だろう?可愛らしい子だ……いつも私の前で座っている] 

[私の姿が見えるのだろうか……そんな気がする……もし見えるのならば] 

[声を……かけてみようか……あの子を怖がらせない様に……優しく微笑んで……私は話せるだろうか……] 

[い、いい……天気だな] 

男「え?」 

[あ……いや……その……]



112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:15:44.78 ID:J1F7aOQs0
男「おねえさん……どうして木の上にいるの?」 

[そ、それは……暇だからさっ] 

男「おねえさんは……ようかいさんなの?」 

[……そ、そうだ!悪いか!] 

男「ううん……悪くないよ」 

[……] 

男「おねえさんのすわっているその木……しろい花が、とてもきれいだね」 

[!] 

男「きれいだね…そして、いいにおいがする」 

[……また来るね] 

[あの男の子は……私の事を綺麗だねと言ってくれた…いい匂いがすると言ってくれた……とてもうれしい 

……とてもうれしい……優しい子だ……私を怖がっていない様だ……また来てくれたら……話せるかもしれない] 

[また……来てくれるだろうか……また、あの子と話したい……あの笑顔が見たい……]



113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:22:20.07 ID:J1F7aOQs0
男「あ、おねえさんだ……」 

[こ、こんにちは…] 

男「こんにちは……」 

[……こ、この花は好きかい?] 

男「うん…だいすき」 

[そ、そうか……大好きか] 

男「……おねえさんの事もすきだよ」 

[え!?] 

男「おねえさん、いつもそこで。わらっているでしょう?」 

[……] 

男「おねえさんも、とてもきれいだよ」ニコッ 

[……ああ……この子は何て可愛いのだろう……人の子なのに……愛おしい……私の事を気味悪いとも言わず 

花を……私を綺麗だと言ってくれた……ここに座っている私の事も……好きだと言ってくれた…… 

言ってくれた………うれしい……話してよかった……とてもうれしい]



115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:27:32.95 ID:J1F7aOQs0
男「それでね、あのね。友達の家でゲームをすることになったんだ!野球じゃなくなっちゃった」 

[ふふふっ、雨が降ってしまっていたからね] 

男「そうなんだ、でもゲームも楽しかったよ!へへっ」 

「男君……誰と喋ってるの?」 

[!!] 

男「え?木の上のお姉さんとだよ!ほらっ!そこにいるじゃないかっ!」 

「え?……いないじゃん……男君……何言ってるの?」 

男「いるよぉ!ほらぁ!!」 

「え……なんかやだぁ……じゃ、じゃあね!」 

男「え?……どうして?」 

[…………]



116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:33:14.89 ID:J1F7aOQs0
[……こ、こんにちは] 

男「………」 

[あ、あれ……あの…] 

男「おねえさんのせいだ!!」 

[!!] 

男「おねえさんがいたから!!僕がおねえさんが見えるから……み、みんなに……」 

[……] 

男「なんで僕はお姉さんが見えるんだ!!いやだよ……皆からイジメられるのは嫌だ……いやなのに…… 
おねえさんがいけないんだ……おねえさんがいけないんだ!!!!」 

[………] 

男「きらいだ……おねえさんなんかだいっきらいだ!!!うわああああああああん」 


[ああ………嫌われてしまった……私が見える……その事であの子を苦しめてしまった…… 

私の事を好きと言ってくれたあの子に……辛い思いをさせてしまった……もうこの姿を出すのはやめよう…… 

私は酷い事をしてしまった……私は……あなたを傷つけてしまったのか……そんな事は……そんな事はしたくなかったのに……]



118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:40:16.04 ID:J1F7aOQs0
[あれからどれ位の季節がまわったのだろう……そろそろ私の寿命も尽きてしまう] 

[あの子は……あれから一度も、ここへは来てくれなかった] 

[あと一月半程で……私は逝ってしまうだろう] 

[幸せな人生だった……しかし………あの子は……あの子に……] 

[あの子は……今どうしているだろうか……まだ、苦しんでいるだろうか……まだ私を恨んでいるだろうか……]

[気になる……どうしても知りたい……あの子に謝りたい……ごめんなさいと……言いたい…] 

[人の姿を…すれば……最後にあの子は会ってくれるだろうか……] 

[あの子に見せていた姿だと…あの子に分かってしまう……会ってくれないかもしれない……] 

[あの子と齢を近くすれば大丈夫だろうか。あの子は私と話をしてくれるだろうか……] 

[会いたい……あの子に会いたい……話をしたい……] 

[……名前は何がいいだろう…………そうだ、あの子は私の凛とした横顔を綺麗だと言ってくれた…… 

凛にしよう……そうだ。それがいい……あの子は気づいてくれないだろうが……それでもいい…凛にしよう] 

[会いに行ってみよう……もう一度……あの子に……私を好きだと言ってくれたあの子に会いに行ってみよう……] 

――――――――――――



119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:45:56.01 ID:J1F7aOQs0
男「!!」 パチッ 

凛「………」 

男「……おま…え……」 

ギュッ 

凛「……男」 

男「……俺は…………」 

凛「いいの……私は……この1ヶ月と少しの間……あなたと話せた……それで満足だった」 

男「……」 

凛「本当に……ごめんなさい……男……人の子よ……私はあなたを苦しめてしまった……ごめんなさい」 

男「……違うんだ…」 

凛「……」 

男「謝らなくていいんだ……凛は……悪くない……」 

凛「いいえ、人の子よ……悪いのは私なのだよ。ずっと人と話してみたかったのだ…私は……お前が言ってくれた……」 

男「…」 

凛「綺麗だよという言葉が……とても嬉しかった……嬉しかったのだよ・・…人の子よ……」



120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:51:46.76 ID:J1F7aOQs0
男「……」 

凛「本当に……お前は優しい子だね。人の子よ」 

男「………凛」 

凛「凛は…悪くないと言ってくれたね男……凛と……初めて名前で呼んでくれたね……こんなに嬉しい事があろうか……」 

男「……」 ギュッ 

凛「ああ……幸せだ……私の最後のわがままに付き合ってくれた……男……お前はとても優しい子だ……」 

男「……俺は……」 

凛「男……大好きよ」 

男「!……」 

凛「男は……辛い思いをしてきた……それなのに…あなたと言う人は……」 

男「……」 

凛「難しいかもしれないけれど……どうか……人間を嫌いにならないであげて…妖を嫌いにならないであげて…… 

あなた程優しい人が……人間と妖を恨んで人生を終えるなんて……してほしくないわ……」 

男「……・」 

凛「男……ありがとう……とても楽しかったわ……この1ヶ月は……私の一生の中で一番楽しかった」



122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 12:55:23.36 ID:J1F7aOQs0
凛「……幸せだったのよ……男……大好きよ……」 

男「……」 

凛「ありがとう……ありがとうね…」 

男「ま、待ってくれ!!お、俺は……」 



男「…………」 

男「………」 


男「……だから」 

男「……だから妖怪は嫌いなんだ……」 

男「勝手に……すぐ…いなくなる……」 

男「……妖怪は……嫌いだ…………くぅ……いなくなる位なら……ヒック……最初から……近付くな…… 

だから………だから……嫌いになってたのに……う……ぅぅ……うわぁぁぁぁぁ……」



123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 13:01:42.91 ID:J1F7aOQs0
「人の子よ」 

男「……」 

「久しぶりだね、人の子よ」 

男「……誰だ」 

「忘れてしまったのかい?人の子よ」 

男「……ああ……俺は妖怪が嫌いなんでな」 

「……あの子は…逝ってしまったかい?」 

男「……」 

「そうか……きっと幸せな最期だったろう……」 

男「……」 

「人の子よ……本当にまだ…妖が嫌いかい?」 

男「ああ、嫌いだね……ただ……もう、憎むのはやめた」 

「ふふっ……お前は……やはり……とても優しいね……人の子よ」



127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 13:08:37.12 ID:lQJQLODaO
乙! 
なんでおもしろいのにこんな批評が多いの? 
なんなの? 
ばかなの?



131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 13:15:10.47 ID:eNQ6hSsC0
厨二臭いのに面白いとかなんなんだよ・・・



132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 13:27:09.56 ID:MLRWB7QzO
夏目もこんな感じなの? 
普通に感動してしまったから読んでみようかな…



134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/14(金) 13:30:22.48 ID:J1F7aOQs0
>>132 
こんなので感動してくれるんなら夏目とか号泣じゃね?って感じかな 
まぁ主人公の設定微妙に違うけど 

つーか保守してくれっつったけどやっぱ落としてもいいや 
寝て起きてまた同じテンションで書けるか微妙だし 

保守するか落とすかは読んでる人に決めてもらおう。 

何個か思いついたけど頭いたいから一旦ねる  そゆことで じゃ 

起きてまだあったて書けるテンションなら書く 8時ぐらいかな

 

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。